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ドラッグストア業界のM&A動向について
ドラッグストア業界は、調剤薬局の併設や日用品のディスカウント販売、インターネット通販の拡大などにより、着実に成長を続けています。一方、人材不足や後継者問題、店舗間競争の激化といった課題も浮き彫りになっており、業界全体では再編の動きが進んでいます。
そうしたなか、事業拡大や経営課題の解消を目的とした有力な手段として注目されているのがM&Aです。大手による買収や、地域密着型ドラッグストアの譲渡事例も増加しています。
本記事では、ドラッグストア業界の特色や市場規模、M&Aの動向などについて詳しく解説します。ドラッグストア業界のM&A事例やM&Aを実施するメリットなどもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
ドラッグストア業界の概要
ドラッグストア業界は、医薬品から日用品、食品まで幅広い商品を扱い、地域住民の生活を支える存在です。ここでは、業界の定義や特色、代表的な業態などについて見ていきましょう。
ドラッグストア業界の定義
ドラッグストアとは、医薬品・化粧品・日用雑貨(日用家庭品、文房具など)、および食品(生鮮食品を除く)を取り扱う小売店舗をいいます。
当初は「ドラッグストア」という名のとおり、医薬品を中心に扱う小売業態を指していましたが、ビジネスモデルの変化により、現在は薬以外の生活用品についても幅広く取り扱っているのが一般的です。
最近では、医療の分業が進んでいることもあり、処方箋の必要な医薬品を販売できる許可を得て営業する店舗も増加傾向にあります。
ドラッグストア業界の特色
ドラッグストアは、主に
の3つに分類され、それぞれ異なる強みと役割を持っています。
ディスカウント型
ディスカウント型のドラッグストアの特徴は、割引や低価格販売を強みにした大型店舗が中心であることです。安さを前面に打ち出すと共に、プライベートブランド商品を展開することで差別化を図り、集客力を高めています。
医薬品や日用品に加えて食品も幅広く扱うため、地域住民にとっては「生活密着型のショッピング拠点」として機能しており、競争力のあるビジネスモデルとなっています。
調剤薬局併設型
調剤薬局併設型のドラッグストアは、薬剤師が常駐し、処方箋に基づいた調剤を行う点が特徴です。医薬品の提供だけでなく、健康相談なども実施し、地域の「かかりつけ薬局」として地域医療の一端を担っています。
少子高齢化が進むなかで、医療や介護と連携した役割はますます重要性を増しており、医薬分業の流れと共に需要が拡大している形態です。
インターネット通販型
インターネット通販型のドラッグストアは、店舗に足を運ばずに医薬品や日用品を自宅に届けられる利便性が強みです。重い飲料やかさばる生活用品を中心に需要が高く、コロナ禍を契機に利用が急増しました。
最近では化粧品や健康食品などの分野にも拡大し、会員サービスやポイント制度を組み合わせることでリピート率を高めています。EC市場の成長に伴い、今後も拡大が見込まれる形態です。
ドラッグストア業界のM&A動向・市場規模
ドラッグストア業界におけるM&Aの動向や、市場規模について解説します。
ドラッグストア業界は、多岐に渡る商品群と調剤窓口の併設が特徴です。商品が幅広いため、消費者にとっては利便性が高まる一方、店舗では在庫管理などが大変になるデメリットも生じています。また、調剤窓口が併設されているため、薬剤師が欠かせません。
ドラッグストア市場は、右肩上がりの成長を続けています。経済産業省の商業動態統計調査によると、2024年の販売額は約8兆9,199億円で、2023年と比較すると106.9%の増加率となりました。特に、ビューティーケアの売上は前年比10.8%増の約1兆1,667億円と、堅調に推移しています。
さらに、株式会社矢野経済研究所の調査によると、OTC医薬品のEC市場規模は、年間平均成長率9.5%での拡大が見込まれています。ドローンなどの技術を活用した配送の実証実験が進行中であり、これからの物流革新も、将来的に期待されることの一つです。
ドラッグストア業界でM&Aを活用するメリット
ドラッグストア業界でM&Aを活用する主なメリットは、以下のとおりです。
それぞれ見ていきましょう。
事業拡大やコスト削減につながる
事業拡大を目指す買い手側にとって、会社の買収による店舗数の増加などで事業を拡大させることが可能です。結果として、コスト削減や売上アップなどを見込めます。
店舗数の増加に伴い取扱医薬品の数も増え、最終的には大量仕入れが可能となり、コスト削減が望めます。また、売り手側が持つ経営ノウハウや地域社会との関係性も継承でき、売上の向上が期待できるでしょう。
薬剤師不足・後継者問題を解消できる
地方のドラッグストアは小規模に運営され、中小企業と同様に、少子高齢化から生じる後継者問題に直面しています。これらの店舗では、薬剤師不足と収益性の問題が後継者不足をさらに助長しており、社内で後継者を見つけるのも困難な状況です。
その解決策の一つとして、M&Aによる大手ドラッグストアへの売却や事業承継が考えられます。売り手の課題である後継者問題を解決できると共に、買い手の課題である人材不足を解消できる可能性があります。
ドラッグストア業界のM&A事例
ドラッグストア業界では大手を中心にM&Aが活発化しています。ここでは代表的な事例を取り上げ、その特徴や狙いを解説します。
株式会社マツモトキヨシグループと株式会社ケイポート
株式会社マツモトキヨシグループ(以下、マツモトキヨシグループ)は2024年4月1日、株式会社ケイポート(以下、ケイポート)の全株式を譲り受け、子会社化しました。
譲受側であるマツモトキヨシグループは、ドラッグストア事業・調剤薬局事業を核として、事業を展開しています。一方、譲渡側であるケイポートは、東京都の大田区・品川区・目黒区を中心に、地域に根差したドラッグストアおよび調剤薬局を運営していました。
本件は、都内におけるケイポートの事業基盤を活用することで、さらなる市場シェアの拡大を目的として実施されています。
株式会社クスリのアオキHDと株式会社フクヤ
2020年10月8日、株式会社クスリのアオキホールディングス(以下、アオキHD)は、株式会社フクヤ(以下、フクヤ)の買収を発表し、10月21日に株式の取得を実施しました。
譲受側のアオキHDは、医薬品・化粧品・日用雑貨などの小売業を行っています。これに対し、譲渡側のフクヤは、京都の舞鶴・綾部・宮津を中心にした、京都北部地区で展開するスーパーマーケットチェーンです。
双方の強みを融合させることにより、食品・生鮮食品・ヘルス&ビューティ・日用品、処方箋といった幅広いサービスの提供を実現し、企業価値の向上を目指しています。
株式会社ツルハHDと株式会社ビー・アンド・ディー
株式会社ツルハホールディングス(以下、ツルハHD)は2023年12月8日、連結子会社である株式会社ツルハが、株式会社ビー・アンド・ディー(以下、ビー・アンド・ディー)の吸収合併を決議しました。
ツルハHDはドラッグストア事業を展開しています。その子会社であるツルハが、愛知県内においてドラッグストア・調剤薬局を運営するビー・アンド・ディーを吸収合併することで、愛知県内における経営基盤の強化を図ることが狙いです。
株式会社ひかりファーマと株式会社スギ薬局
株式会社ひかりファーマ(以下、ひかりファーマ)は、株式会社スギ薬局(以下、スギ薬局)に対して2018年に薬局1店舗を事業譲渡し、2023年には株式譲渡を実施しました。
譲渡側であるひかりファーマは、富山県・石川県を中心に13店舗の調剤薬局を展開していました。一方、譲受側であるスギ薬局は、ドラッグストアなど約1,500店舗の運営を行う大手企業です。
本件は、ひかりファーマの安定的な成長と、スギ薬局の北陸エリアへの事業拡大を目的に実施されました。
株式会社ココカラファインと株式会社フタツカHD
2020年11月、株式会社ココカラファイン(以下、ココカラファイン)は、株式会社フタツカホールディングス(以下、フタツカHD)の全株式を取得しました。
譲渡側のフタツカHDは、兵庫県神戸市を拠点として、調剤薬局・介護・保育といった各種事業のほか、医療モール開発事業を運営しています。
ココカラファインの主力事業である、調剤薬局事業のさらなる強化と、地域のヘルスケアネットワークの貢献を実現することが狙いです。
ウエルシアホールディングス株式会社と株式会社ププレひまわり
2021年7月、ウエルシアホールディングス株式会社(以下、ウエルシア)は、株式会社ププレひまわり(以下、ププレひまわり)を子会社化するため、資本業務提携の基本合意書を締結しました。
この提携の主な目的は、中国・四国地方における店舗網の拡大や、ノウハウ・人材などの経営資源を共有することによる、経営規模の拡大と経営体質の強化です。
今後は仕入れやシステム、物流、従業員教育、店舗運営など幅広い分野で協議を進め、双方の強みを活かしながら、顧客に選ばれる店舗づくりを推進するとしています。地域密着型のププレひまわりと、全国ネットワークを持つウエルシアの融合は、ドラッグストア業界再編を象徴する動きといえるでしょう。
ドラッグストア業界におけるM&A成功のポイント・注意点
ドラッグストア業界でM&Aを成功させるには、地域性や人材確保など、特有の課題に対応することが重要です。ここでは、注意するべき2つのポイントについて見ていきましょう。
それぞれ見ていきましょう。
地域との関係性を確認する
ドラッグストア業界におけるM&Aでは、買収対象となる企業が地域にどの程度根ざしているかを事前に確認することが重要です。デューデリジェンスの段階で、地域住民からの評判や行政・医療機関との連携状況を調査しておけば、買収後に想定外のリスクに直面する可能性を減らせます。
特に地域包括ケアの推進が進むなか、地域密着型で信頼を得ている店舗は安定した顧客基盤を築いていることが多いため、買収後のシナジー創出にも直結します。したがって、表面的な立地条件や売上データだけではなく、地域との信頼関係という無形資産を見極める視点が、M&Aを成功へと導く重要な鍵となるでしょう。
店舗立地や有資格者の有無を踏まえて戦略を策定する
ドラッグストアの経営は、立地条件や交通アクセスの良さに大きく左右されます。一般的に都市部の駅近店舗は集客力が高いとされますが、郊外に位置する場合でも国道沿いや広い駐車場を備えた店舗は車での来店がしやすいため、むしろ優位に働くケースも珍しくありません。
また、薬剤師や登録販売者といった有資格者を多く抱えていることも、大きな強みです。専門性の高いサービスを提供できるだけでなく、薬剤師が不在では販売できない医薬品もあるため、人材の確保は安定経営に直結します。
ただし、統合プロセスが不十分だと、せっかくの立地条件や人材価値を十分に発揮できない可能性もあります。したがって、買収後のPMIにおいては、既存店舗とのすみ分けや人材の定着・育成に配慮し、獲得した資源を最大限に活かす戦略を策定することが、成功の鍵となるでしょう。
ドラッグストア業界における今後のM&Aの課題と展望
ドラッグストア業界は概ね、以下のような問題に直面しています。
- 薬剤師不足
- 医療費削減政策によるドラッグストアの収益性の低下
- 経営者の高齢化
特に「薬剤師不足」は、収益に影響を与える重大な問題の一つです。
このような状況下では、中小規模の調剤薬局の多くが、大手の傘下に入る形でM&Aが増加しています。少子高齢化が深刻化することで、こうしたM&Aはさらに活発化していくと考えられています。
また、デジタル化と異業種からの参入により、ドラッグストア業界は大規模な変革を遂げています。2024年度には、ドラッグストアの調剤額が約8,937億円に達し、前年度比9.9%の伸びとなっています。
この成長の背景には、Amazonなどの大企業が市場に参入し、オンライン診療や服薬指導の需要が高まっていることが挙げられます。
これらの変化は、今後ますます業界動向に新たな動きをもたらすこととなり、異業種とのM&Aは進んでいくと考えられます。
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よくある質問
- ドラッグストア業界とはどのような業態ですか?
- 医薬品に加え日用品や食品なども幅広く扱い、地域密着型で多様な機能を果たす小売業態です。
- ドラッグストア業界でM&Aが増えている理由は?
- 薬剤師不足や後継者不在、競争激化に対応するため、大手による買収や地域店舗の譲渡が増加しています。
- M&Aの主なメリットは何ですか?
- 事業拡大、人材確保、コスト削減、地域基盤の獲得などが挙げられます。
- M&Aで注意すべき点は何ですか?
- 地域との関係性、有資格者の有無、店舗立地、PMI戦略が重要です。

