フランチャイズ 業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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フランチャイズ業界は長期的な成長を続けており、M&Aも活発化している状況です。

本記事では、フランチャイズ業界におけるM&Aについて、市場動向や具体的な事例を交えながら解説します。また、M&Aを活用するメリットや成功のポイント、今後の業界の展望についても触れていきます。フランチャイズ業界でのM&Aを検討している方や、業界の動向に関心がある方は、ぜひご一読ください。

M&Aの前に押さえておきたいフランチャイズ業界の情報

M&Aを検討する前に、フランチャイズ業界の定義や特色といった、基本的な情報を押さえておきましょう。

フランチャイズ業界の定義

フランチャイズとは、フランチャイズ本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)が契約を結び、本部が加盟店に特権を与えて共同事業を行うことです。

本部は加盟店に対し、商標や看板、経営ノウハウなどの権利を与え、加盟店はそれらの対価として本部にロイヤリティなどの金銭を支払います。また、本部は加盟店の物品販売やサービス提供、その他の事業・経営について統一的な活動をさせるために、理念やビジョンの共有、指導、援助を行います。

フランチャイズ業界の特色

フランチャイズ業界の特色として、商標や経営ノウハウを使用する対価として、加盟店が本部にロイヤリティを支払う仕組みが挙げられます。加盟店は本部とは別企業であり、運営ノウハウは本部から指導を受けるものの、人材採用や業務は加盟店のオーナーの領分です。

なお、フランチャイズと似たビジネスモデルに代理店がありますが、両社には明確な違いが存在します。代理店では価格や販売方法、施策などの決定権が代理店にあるのに対し、フランチャイズでは本部が指定した価格、販売方法、施策のとおりに運営を行わなければなりません。

フランチャイズの利点としては、本部のブランド力を活用した宣伝により集客効果が期待でき、開業初日から大きな売上が見込めること、本部のサポートを受けられるため開業時の負担が少なく比較的容易に事業を始められることが挙げられます。一方で、加盟店ごとの独自性が出しにくい点はデメリットといえるでしょう。

フランチャイズ業界のM&A動向・市場規模

フランチャイズ業界は長期的に成長を続けています。2019年には売上高が26兆6,480億円となり、10年連続の増加を記録しました。しかし、2020年度にはコロナウイルスの流行の影響を受け、売上高は25兆4,204億円と前年度比4.6%減少し、直営店と加盟店の国内総店舗数も25万4,017店舗と前年度比3.4%の減少となっています。

その後、2022年にはチェーン数1,282チェーン、店舗数24万9,316店舗、売上高26兆9,880億円と、チェーン数と店舗数は減少したものの、売上高は回復し、2年連続のプラス成長を達成しました。この長期的な増加傾向の維持や、困難な状況からの速やかな回復は、フランチャイズというビジネスモデルの優秀さを示していると考えられます。

フランチャイズ業界 統計推移

フランチャイズは、個人や法人の新規事業展開において多くの成果を上げており、地域社会・経済・消費者を支える重要な役割を果たしているといえます。このようなフランチャイズ業界の安定性と成長性は、M&Aを検討する際の魅力的な要因の一つといえるでしょう。

フランチャイズ業界のM&A事例

フランチャイズ業界では、外食、菓子製造販売、住宅建設など、さまざまな分野でM&Aが実施されています。具体的な事例を見ていきましょう。

日本共創プラットフォームとイタリアントマト

2024年1月、株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)は、株式会社イタリアントマトの過半数株式を譲受けたと発表しました。イタリアントマトは日本国内に109店舗の直営店・フランチャイズ店舗を運営し、香港でも37店舗を構えています。イタリアントマトが有する外食業界におけるブランド力やノウハウと、JPIXが有するCX・DX技術を融合させることで、外食業界のさらなる成長と変革に貢献するとしています。

GENDAとレモネード・レモニカ

2023年9月、株式会社GENDAは、レモネード製造・販売、フランチャイズ本部の株式会社レモネード・レモニカを買収すると発表しました。両社は商業施設への出店により培ったノウハウとブランド力をかけ合わせ、連携することでグループ全体の規模拡大につなげていくとしています。

フルキャストホールディングスとグロービート

2023年6月、株式会社フルキャストホールディングスは、ラーメンを軸とした飲食チェーン事業者のグロービート株式会社の買収を発表しました。グロービート株式会社の孫会社であるグロービートジャパン株式会社は、直営店・フランチャイズを含み国内で199の店舗を展開しています。国内だけでなく上海、台湾、タイにも進出しており、競争の激しいラーメン業界において確固とした実績を築いてきました。フルキャストHDは初の飲食店業界進出となりますが、グロービートへの経営資源および人員の提供により、シナジー効果の創出を期待するとしています。

シャトレーゼホールディングスと亀屋万年堂

2021年1月、菓子製造販売のシャトレーゼホールディングスは、「ナボナ」で知られる老舗和菓子メーカーの亀屋万年堂の生産会社である株式会社亀屋万年堂製菓を買収しました。双方の企業理念に親和性を感じ、双方の有する経営資源や、菓子業界におけるノウハウ、ブランド力を活用することで、新たな付加価値の創出を期待するとしています。

綿半ホールディングスと夢ハウス

2021年8月、綿半ホールディングス株式会社は、ハウスメーカーの株式会社夢ハウスを連結子会社化しました。両社は、戸建て木造住宅のフランチャイズ事業を展開しています。双方の経営資源や仕入調達力を互いに活用することで、綿半グループ全体の企業力向上および企業価値向上を図るとしています。

フランチャイズ業界でM&Aを活用するメリット

フランチャイズ業界でM&Aを活用する主なメリットとして、次の2点を紹介します。

  • ・資金力を強化できる
  • ・サプライチェーン最適化につながる

それぞれ見ていきましょう。

資金力を強化できる

M&Aを活用すれば、自社の資金力を強化することができます。新たなビジネスチャンスを追求するときなどには、資金調達の有力な選択肢になるでしょう。

また、買収先の財務資源を有効に活用することで、成長投資や事業展開に必要なキャッシュフローを確保でき、企業の金融面での信用力も向上します。フランチャイズ業では加盟店の規模拡大のために資金の確保が大切ですが、M&Aによって資金調達の効率化と企業信用力の向上を実現すれば、競争力の向上や事業規模の拡大につなげることが可能です。

サプライチェーン最適化につながる

M&Aによって複数のフランチャイズを所有できれば、共通のサプライヤーや物流ネットワークの活用により、コスト削減や効率向上が期待できます。また、異なる分野でフランチャイズを展開している同業他社とM&Aを行えば、双方が持つノウハウの融合により、新たな施策の設定や有効なフランチャイズモデルの構築も可能です。これにより、市場での優位性を確立することもできるでしょう。

フランチャイズ業界におけるM&A成功のポイント

続いて、フランチャイズ業界でM&Aを成功させるために押さえておくべき、2つのポイントを解説します。

売買価格の適切に評価する

フランチャイズ業界でM&Aを成功させるためには、買収価格を適正に評価しなければなりません。フランチャイズ運営企業の場合、ブランド力や、ノウハウの他にも、加盟店舗数・利益率・売上高などを考慮し、企業価値を評価したいところです。その際、対象企業の情報だけではなく、競合他社や市場の動向とも比較しながら分析することが重要です。

商標などの契約関係を確認しておく

商標などの契約関係 では、契約解除なしでそのまま譲渡できる場合や、一度正式に契約解除しなければならない場合などがあります。これらの取扱いは契約内容に依存するため、M&Aを検討する際には、フランチャイズ本部と加盟店との契約状況を確認しておくことが大切です。

また、M&Aを実施しフランチャイザーが変わることで、加盟店が離れてしまうリスクもゼロではありません。契約内容と合わせて、フランチャイザーと加盟店の関係性も確認しておきましょう。

フランチャイズ業界における今後のM&Aの課題と展望

フランチャイズ業界におけるM&Aは、今後も活発化していくことが予想されます。ここでは、業界の成長性と、M&Aによる業界全体の活性化への期待について解説します。

業界は今後も成長が見込まれている

フランチャイズ業界の成長は今後も続くと予測されています。コロナ禍の終息やIT技術の発展、消費者ニーズの多様化などの背景から、2024年のフランチャイズ事業は大きく飛躍しています。フランチャイズ事業は、他の事業に比べて比較的低コストで始められ、本部からのサポートも受けられるため、初心者でも始めやすいビジネスです。そのため、業界の活性化は今後も続くでしょう。

M&Aに業界全体の活性化が期待されている

企業は環境変化に対応して柔軟に企業再編を行う必要があります。特に日本では少子高齢化により中小企業の事業承継が深刻な問題となっており、M&Aの動向にも影響を与えるしょう。

フランチャイズ業界のM&Aは、M&Aが盛んな米国ではもちろん、日本でも盛んに実施されています。今後もM&Aによる業界全体の流動性の高まりと活性化が期待されています。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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