保険業界 市場規模や買収・売却事例について解説

保険業界市場規模や買収・売却事例について解説のメインビジュアルイメージ

更新日

  • #業種別M&A動向
  • #保険業界 M&A

業界の定義

保険会社とは、保険を取り扱う会社のことを指す。保険会社は、「生命保険会社」と「損害保険会社」に分別され、「生命保険会社」は死亡保険や医療保険、がん保険、個人年金保険など扱い、「損害保険会社」は自動車保険や船舶保険、火災保険、地震保険などを扱う。 生命保険制度は、一生に関する長期間保障であり、生命保険会社は「安定」を第一に求められる。損害保険会社は、大規模災害の増加ニーズに合わせた新たな補償制度が求められている。

日本には公的保険制度があるが、少子高齢化により財源が不足してきており、自助努力による民間の保険が果たす役割が増している。

業界の特色

保険会社の収益源は、「加入者が保険会社に支払う保険料―保険会社が加入者に支払う保険金=保険料収入(正確には保険引受利益という)」と、保険会社が機関投資家になって保険料収入で資産運用を行い、運用により得た資産運用益の2つがある。 保険会社は、この2つの収益を蓄積して加入者の「安心・安全」を担保している。保険会社の健全性を計る指標としてソルベンシーマージン比率という指標があるが、保険業界はその指標を上昇させることよりも、激変する外部環境に対応することが迫られている。 フィンテックをはじめAIなどのテクノロジーの進歩により消滅する金融業界の職種トップ3は、銀行営業(窓口含む)・保険外交員・証券営業と言われている。自動車業界が「100年に一度の変革期」と言われて構造改革を進めているが、他山の石として構造改革に迫られているのが保険業界の特色と言える。

市場規模

スイス・チューリッヒに本拠地を置く保険会社・Swiss Re社によると、2016年世界の生命保険の収入料は233兆円で、日本は全体の13.5%に当たる38兆円を占めている。アメリカが21.4%で、世界の生命保険の3割以上のシェアで二大保険大国になっている。


同年世界147カ国の損害保険の市場規模は、229兆円(元受収入保険料)であり、アメリカが86兆円(38%)、中国が22兆円(10%)、ドイツが13兆円(6%)、日本が12兆円(6%)である。 日本の生命保険の構成比は、医療保険が24%、終身保険が20%、定期保険が15%、がん保険が13%などとなっており、損害保険の構成比は、自動車が49%、自動車賠償損害責任が12%、火災が14%、新種が14%、傷害が8%、海上が2%、運送が1%などとなっている。

生命保険会社の経常収益は、日本生命が8.2兆円、かんぽ生命が7.9兆円、第一生命が7.1兆円、明治安田生命が4.1兆円、住友生命が3.6兆円であり、3大損害保険会社の利益水準は、東京海上ホールディングスが5.48兆円、SONPOホールディングスが3.77兆円、MS&DSインシュアランスが5.50兆円である。

日本国民の生命保険加入率は80%を超えており、1人当たりの保険料はアメリカの2〜4倍。損害保険ともども飽和状態になっており、市場が縮小するなか、各社の抜本的対応が求められる。



課題と展望

資産運用

生命保険業界の課題は、少子高齢化による財源不足から社会保険料が上昇しており、保険加入者の可処分所得の減少し、民間保険の解約増加が予見されることである。また日銀のマイナス金利政策により、保険会社の資産運用益の減少が減少しており、保険会社の利益が減少すると加入保険料の値上げにつながり、こちらも保険加入者の解約増加が予見される。さらに外資系保険会社が大量のテレビCMなどで直接販売をしており、現在の20%弱のシェアが上昇する可能性がある。 販売ルートが既存の営業職員単一によるものから、銀行窓口での販売、来店型保険ショップ、電話・インターネットによるものなど多様化しており、きめ細かく対応していかなければならない。

またIoT化される可能性が大きく、外資系にシェアを拡大される前にIT・AI技術を開発しなければならない。

損害保険業界の国内市場は飽和しており、M&Aも3大損害保険会社となりほぼ終了。今後国内市場では現在のブランド力や収益力を活かした既存事業に対する新規事業の開拓が行われると予測される。
国外では、海外企業とのM&Aや業務提携、東南アジアなど新興国への新規市場開拓などが想定される。

保険業界のM&A動向

生命保険業界は、商品の性質上M&Aのメリットが小さく大きな再編は行われていない。

AIGグループが国内生命保険業から完全撤退し、2011年にプルデンシャルグループが、AIGエジソン生命とAIGエジソン生命をM&A。1998年には、日本生命が三井生命を3200億円かけて株式公開買い付けを実施し連結子会社化した。 損害保険業界は再編が大きく進んだ。

2010年に三井住友海上グループと あいおい損保・日生同和損保の3社のM&Aにより、MS&ADインシュアランスグループが誕生。NKSJHDも損保ジャパンと日本興亜損害保険とのM&Aが完了した。東京海上グループとの3大損害保険会社時代に入った。 グローバルプレゼンス拡大に向けては、2015年2月に第一生命がプロアクティブ生命をM&A。

同年7月に明治安田生命がスタンコープ・フィナンシャルグループを、また8月には住友生命がシメトラ・フィナンシャルグループをそれぞれ5000〜6000億円の規模でM&Aを完了。 中長期的には、情報技術進化に対応した縦軸の深堀、横軸では海外でのM&Aにより面展開での世界シェア拡大が進行する。

大和総研は、生命保険についてビジネスの持続可能性を維持するためには、保有契約高で100兆円キープが必須と試算している。


M&Aキャピタルパートナーズは、豊富な経験と実績を持つM&Aアドバイザーとして、お客様の期待する解決・利益の実現のために日々取り組んでおります。
着手金・月額報酬・企業評価レポート作成がすべて無料、秘密厳守にてご対応しております。
以下より、お気軽にお問い合わせください。


ご納得いただくまで費用はいただきません。
まずはお気軽にご相談ください。

監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


M&A関連記事

M&Aへの疑問

M&Aへの疑問のイメージ

M&Aに関する疑問に市場統計や弊社実績情報から、分かりやすくお答えします。

業種別M&A動向

業種別M&A動向のイメージ

日本国内におけるM&Aの件数は近年増加傾向にあります。その背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。

M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由

創業以来、報酬体系の算出に「株価レーマン方式」を採用しております。
また、譲渡企業・譲受企業のお客さまそれぞれから頂戴する報酬率(手数料率)は
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」となっております。