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- #業種別M&A動向
- #自動車整備等業界 M&A
業界の定義
自動車整備業とは、自動車が支障なく稼働するために、自動車整備工場などで自動車のメンテナンスや修理を行う事業のことを指す。具体的には、車検整備や定期点検整備、事故整備、その他整備(カーナビ・ETC機器の取付等)などにわけられる。
自動車整備工場には、「指定工場」と「認証工場」があり、「指定工場」は民間車検場と呼ばれ、工場内に検査ラインが設置されているため、その場で車検が完了できる。一方の「認証工場」は工場内に検査ラインがなく、簡易的な確認を行うのみの自動車整備工場である。そのため工場内で全検査の実施ができず、陸運局で車検の最終確認を行う必要がある。
業界の特色

自動車整備業の業態としては、専業(整備業50%以上)、兼業(ガソリンスタンドやカー用品店で車検整備の兼業)、ディーラー、自家(企業自ら自社車両整備)に分けられ、ディーラー系が売上高の50%近くを占めている。また、個人事業に近い小規模店舗から大手の自動車販売店、中古車販売店など会社の規模も幅広い業界である。中小企業が多く、販売と整備を同時に行う店舗や、軽自動車、トラックといった車種で販売店が分かれている場合がある。
自動車整備は、以前は機械の部分を整備士が修理していたが、近年は自動車部品がユニット化することで修理が困難になることや、電気自動車やハイブリッド車が普及で従来の整備士が車の内部まで整備、修理が困難になってきている。そのため機械の整備から車の傷・へこみなどを修理する板金作業を強化する動きになっている。
市場の規模
一般社団法人日本自動車整備振興会連合会の「平成31年度自動車分解整備業実態調査結果の概要について」によると、2019年度の自動車整備業の総整備売上高は5兆6,216億円であった。

出典:https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/H31jittaityousa.pdf
車検という制度上、自動車整備業には一定の需要はあるが、現在は人口減少で車に乗る人が減少していることに加え、若者の車離れもあるため、長期的に見た際に、市場規模は縮小傾向にある。
2006年のピーク時には約6兆円であったが、その後市場は縮小し、2010年から2019年までの過去10年では、微増と微減を毎年繰り返しており、実質横ばいとなっている。
また、認証を有する自動車整備工場4種の2019年のそれぞれの売上高(認定工場ではない鈑金・塗装専業、一般のガレージの売上は含まない)は、専業(整備業50%以上)が1兆9,444億円、兼業(ガソリンスタンドやカー用品店で車検整備の兼業)が6,830億円、ディーラーが2兆7,672億円、自家(企業自ら自社車両整備、タクシー会社等)が2,270億円となっている。

出典:https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/H31jittaityousa.pdf
専業の自動車整備工場は後継者不足や高齢化などを理由に、廃業する工場が年々増加している。一方でディーラーの自動車整備工場は年々増加している。これは自動車の高度化により、整備に対応ができないケースが増えたためである。ディーラーであればより高度な対応も可能となるため、このような業界の流れになっている。
課題と展望
自動車整備業界では、自動車整備士の人材不足や高度な電子制御など先進技術への対応などが大きな課題となっている。自動車の電子制御装置が多用化していることから、スキャンツールを使った点検・整備が必須になっている。
そのため、自動車整備士はこのツールを使いこなせる高度な知識や技術を習得する必要があり、今後も自動車整備士の人材不足は加速する恐れがある。また、人口減少や若者の車離れ、カーシェアの普及などから、自動車の販売台数は減少傾向にあり、それが自動車整備作業の作業量に直接影響を与えていることも深刻な問題である。
今後、労働環境の整備や処遇の改善やスキャンツールの普及促進に取り組むことが、自動車整備士の人材不足や高度な電子制御など先進技術への対応などの課題を解決する要因になるといわれている。
自動車整備等業界のM&A動向
自動車整備等業界は有資格者が必要のため新規参入が難しい業界である。自動車整備専門学校の進学率が減少し、国家資格を必要とする整備士の絶対数が少ない状況で人材確保および、運輸局から認可されている工場設備を同時に獲得できることがM&Aを行う大きな理由になっている。
また自動車整備工場で点検と整備を自ら実施して、車を販売したい中古車販売会社は、外部に委託している自動車整備を内製化するためにM&Aを実施することや、大手企業がエリア拡大、広域化を見込んでM&Aを実施するケースも多くみられる。
2020年、株式会社イエローハットは、自動車の整備及び修理等を行う溝ノ口自動車株式会社の全株式取得し、子会社化することを決定した。株式会社イエローハットは、カー用品等の販売事業を展開している。溝ノ口自動車株式会社は、自動車の整備および修理、自動車の販売ならびに自動車部品の販売、自動車保険の販売業務を行っている。このM&Aにより、株式会社イエローハットは、グループにおける車検・鈑金・整備技術の向上と、ピットサービスによる収益拡大を図った。
2020年、株式会社オートバックスセブンは、三重県において4拠点で車検・整備、板金事業等を行う高森自動車整備工業株式会社の全株式を取得し、子会社化することを決定した。高森自動車整備工業株式会社は、自動車の車検・整備、板金事業等、自動車整備業を行っている。このM&Aにより、株式会社オートバックスセブンは、新たな整備事業者とのネットワークを構築し、より多くの顧客と接する機会を獲得するとともに、さらなる収益拡大を目指した。
2018年、プレミアグループ株式会社は、中古輸入車の無償修理保証サービスや整備・鈑金、自動車仕入れサポートの事業などを展開する株式会社ロペライオソリューションズの株式を取得し、子会社化した。このM&Aにより、ノウハウ・データを相互活用することによる無償修理保証サービスの商品力強化、新たな販路の開拓による加盟店ネットワークの拡張、業務運営効率化及び原価の低減が期待された。
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