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- #業種別M&A動向
- #リサイクル業界 M&A
業界の定義
リサイクル業界は、「不用品回収業者」と「リサイクルショップ」に分けられる。不用品回収業者は、不用品を回収している事業者のことを指す。
対象の不用品は家電・家具・洋服など多岐に渡る。リサイクル費用を支払う場合と不要品の価値を買い取ってくれる場合があり、24時間365日対応している事業者もある。
リサイクルショップは、回収した不要品を再販売する業者のことを指し、店舗でリサイクル品を販売している業態と、インターネットでリサイクル品を販売している業態がある。
業界の特色

平成30年に閣議決定された「第四次循環型社会形成推進本部計画」において、循環型社会形成に向けて取り組むべき課題の1つとして、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環が挙げられた。
その中の取組として「サービサイジング」「シェアリング」「リユース」「リマニュファクチャリング」などが、循環型社会にもたらす「天然資源投入量」「廃棄物発生量」「二酸化炭素排出量」の削減や資源生産性向上等を促進するためのビジネスモデルの確立・普及を促進することが求められている。
日本社会は従来の環境破壊から人を守る「環境規制」を中心としたものから、廃棄物の削減や処理方法の適正化を規制する「環境保全」を意図したものに、そして「循環型社会形成」に向かっている。
このことから、リサイクル業界は政府の方針に沿った将来性の高い業界といえる。リサイクルビジネスは、国民生活や産業活動にとって不可欠な社会インフラストラクチャーとなっており、鉄道会社や電力会社などと同等の公共性が求められているにも関わらず、市場規模・事業規模ともに圧倒的に小さい状況といえる。
市場の規模
令和元年7月に環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室が発表した「平成30年度リユース市場規模調査報告書」によると、2016年度における中古品のみを扱っていると考えられる小売業5業種の年間商品販売額の合計は4兆1,275億円であった。
そのうち中古自動車小売業が82.7%のシェアで売上高3兆2,142億円、骨董品を除く中古品小売業の売上高は10.9%で4,490億円であり、中古自動車・中古品小売業を除く残り3業種の市場規模は、古本小売業が3.1%で1,274億円、中古電気製品小売業が1.8%で756億円、骨董品小売業が1.5%で613億円を売り上げた。
出典:https://www.env.go.jp/recycle/H30_reuse_research_report_1.pdf
法人組織の事業所のみを対象とし、販売形態別業種の比較を行うと、すべての業種で店頭販売が高い割合を占めており、骨董品小売業以外の業種は8割以上にのぼり、古本小売業に至っては96.2%と高い数値を出している。
出典:https://www.env.go.jp/recycle/H30_reuse_research_report_1.pdf
インターネット販売の割合は、中古電気製品小売業が最も高く9.7%。次いで骨董品を除く中古品小売業が7.1%であった。中古品取扱5業種の事業所数は合計は31,884カ所であり、内訳は中古自動車小売業が67.6%で21,556カ所、骨董品を除く中古品小売業が17.6%で5,627カ所、骨董品小売業が6.0%で1,900カ所、古本小売業が5.6%で1,793カ所、中古電気製品小売業が3.2%で1,008カ所となっている。
課題と展望
市場規模には入ってないが、いわゆる鉄くずなどの「素材リサイクル」や、太陽光発電など「再生可能エネルギー」も名称どおりリサイクル(再生)にカテゴライズされる。
素材リサイクル中でも有望市場がメタルリサイクルで、自動車・家電・情報端末(パソコン・スマートフォンなど)は、本体が不要品として処分されたとしても、内部には多くの「リサイクル可能なレアメタル素材」が含まれている。それらを抽出して再商品化するビジネスモデルである。
日本は高度なメタルリサイクル技術を持っており「物理選別技術」「科学分離技術」に関しては、パナソニック株式会社や住友金属鉱山株式会社など多くの企業が特許を持っており、海外でも充分通用する技術で国際化が推進されている。他にも、プラスチックのリサイクル市場、ガラスのリサイクル市場、木材のリサイクル市場も有望市場として注目されている。
リサイクル業界のM&A動向
リサイクル業界は店舗拡大のためのM&Aや事業規模拡大のためのM&A、ノウハウ獲得のためのM&Aなど同業によるM&Aが活発に行われている。
2020年6月、株式会社ウイルテックは株式会社サザンプランの全株式を取得し、完全子会社化した。このM&Aは、ウイルテックの修理サービス事業とサザンプランの持つ「再生技術」との連携、並びに「流通」のノウハウを活かした電子部品の販売力強化が目的とされている。
2020年5月、株式会社ハードオフコーポレーションは株式会社エコプラスの発行する全株式を取得し、完全子会社化した。このM&Aにより、東北地方および北海道における営業基盤をの強化が期待された。
2019年4月、株式会社ゲオホールディングスは株式会社おお蔵の全株式を取得し、子会社化した。このM&Aにより、リユース市場における全方位的な拡充を推進することに加え、ラグジュアリーブランドのリユース商材調達力を強化し、事業拡大が図られた。
2016年11月、株式会社アドバンティク・レヒュースは三協興産株式会社の全株式を取得し、子会社化した。このM&Aにより、南関東で取引先を拡大するとともに食品のリサイクル工場などの取得で、事業拡大が図られた。
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