テレビ業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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  • #業種別M&A動向
  • #テレビ業界 M&A

業界の定義

テレビ製造業とは、テレビ受像機(通称テレビ)を製造する事業のことを指す。テレビとは、電波を用いて離れた場所から映像と音声を受信し、その映像と音声を視聴するための受信機のことを指す。

テレビはテレビジョンの略であり、テレビジョンとは「遠距離の」を意味する「テレ」と「映像」を意味する「ビジョン」を合わせた合成語である。



業界の特色

テレビ業界イメージ画像

日本においては1953年にNHK放送が開始され、1957年にカラーテレビが発売、1960年代から1970年代に普及率が進み、9割近くの人がテレビを所有するようになった。その後、2000年代後半からテレビのディスプレイは、ブラウン管から薄型テレビへとシフトした。さらに、薄型テレビは液晶ディスプレイ、有機ELといった具合に技術革新が進み、小型・軽量化、省電力化が進んでいる。

また、テレビのデジタル化とも連動して、画像もハイビジョン、4K、8K、インターネットと接続できるテレビ、コネクテッドTVといった具合に、高精細化している。

一方で、国内企業をみると、戦後に誕生した日本企業のテレビ産業は冷蔵庫や洗濯機のような「白物家電」とともに急成長を遂げてきたが、2000年代になるとテレビも汎用家電として海外企業との価格競争に巻き込まれた。




市場の規模

一般社団法人電子情報技術産業協会によると、日本における最近10年の出荷数推移は2010年をピークに減少している。2010年には約2,500万台が出荷され、需要のピークであったが、その後下降。2011年には、アナログテレビ放送が終了し、地上デジタル放送対応テレビの需要が高まったが、2012年以降は645万台まで減少し、その後も市場の縮小傾向が続いた。2017年には427台と、2010年の1/5以下に低下した。

2020年の売上は、新型コロナウィルス感染症拡大による“巣ごもり需要”で多少増加し500万台を超える見込みとされているが、日本国内の出荷数は500万台前後で飽和状態であると言える。

4K(対応)テレビの出荷台数は順調に伸びており、2018年の出荷台数は198万台で出荷金額は3,248億円となっている。この数字は、薄型テレビ市場において、台数では44.1%のシェア、金額では72.9%のシェアと、市場の大部分を占めており、テレビ市場を担っていく存在であることを示した。




4K(対応)テレビ累計出荷台数
出典:https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/pdf/executive_summary_2019_2020.pdf









企業別に売上を比較すると、パナソニック株式会社(アプライアンス社)が2兆5,926億円、ソニー株式会社(エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション)が1兆9,912億円、シャープ株式会社(8Kエコシステム)が1兆3,135億円となっている。



課題と展望

最近では韓国や中国といったアジアのテレビメーカーに国内市場シェアを奪われ、日本企業はテレビ事業から撤退したり、海外企業にテレビ事業を売却したりするメーカーが続出している。一方で世界市場は、今後も成長が続くことが見込まれている。主な要因として、新興国においてはまだテレビの普及率が低い国があることと、人口が増加していることがあげられる。

日本企業が見出す活路としては、海外市場への進出や8K対応テレビにある。4K対応テレビは普及が進んでいるが、次世代の8K対応テレビも市場流通が始まっている。テレビ市場では、アナログ放送からデジタル放送への移行時にブラウン管テレビから薄型テレビへの買い替え需要が発生した。今後8K対応テレビへの買い替え需要も期待されるが、環境面では5Gの整備、そして技術においては最新のIoT機能への対応などが必須の課題としてあげられる。



テレビ業界のM&A動向

海外企業による日本企業のテレビ事業のM&Aが相次いでおり、日本企業の技術力、ブランドイメージを自社に取り込むことを主に目的としている。

2015年、中国巨大家電メーカー長虹グループは、2008年にパナソニック株式会社がM&Aにより子会社化していた三洋電機株式会社のテレビブランドを、中国大陸にて4年間、独占使用する権利を獲得した。長虹グループは三洋ブランドのテレビ事業と自社のテレビ事業を統合し、三洋テレビの既存のルート資源の役割をさらに発展させることを狙った。

2016年、台湾の鴻海精密工業はシャープ株式会社をM&Aした。シャープ株式会社は、液晶テレビで2000年代は大きく事業拡大したが、液晶テレビの需要減少と韓国企業の台頭で経営状態が悪化し、経営再建のため鴻海精密工業にM&Aされた。鴻海精密工業は電子機器受託製造と呼ばれる事業形式により、自社の商品でなく他社の依頼により製品の生産だけを手がけている。鴻海精密工業はシャープ株式会社のもつ液晶技術により、スマートフォンに有機ELディスプレイの供給や、ガソリン車や電気自動車に搭載するディスプレイの供給を目的としてM&Aをした。

2018年、中国のハイセンスグループは、株式会社東芝のテレビ事業を手がける東芝映像ソリューション株式会社(TOSHIBA VISUAL SOLUTIONS CORPORATION)をM&Aした。このM&Aにより、ハイセンスは東芝ブランドのテレビの商品・運営サービスなどの業務と東芝ブランドのテレビのグローバルブランドライセンスを40年間得ることとなった。また国内市場では「ハイセンス=格安」というイメージが根強く、東芝のブランドのもつパワーでハイセンス製品のブランドイメージも高める戦略である。




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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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