カメラ業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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  • #業種別M&A動向
  • #カメラ業界 M&A

業界の定義

カメラ製造業とは、カメラおよびその付属品を製造する事業のことを指す。
カメラは、フィルムカメラとデジタルカメラに大別される。
フィルムカメラとは、記録媒体が「フィルム」のカメラを指し、記録されたフィルムを現像し、プリントすることで写真となる。デジタルカメラとは、フィルムの代わりに「イメージセンサー(撮像素子)」がカメラ内部に組み込まれ、光の情報を記録・変換し、メモリーカード等の記録媒体に記録する機能を持つカメラのことを指す。




業界の特色

カメラ業界イメージ画像

カメラ業界では、フィルムカメラとデジタルカメラが製造されている。フィルムカメラは、1826年にフランスのニエプス兄弟がアスファルトを感光材料にして、1枚の写真を撮影したことから始まり、日本に写真技術が伝わったのは1857年である。その後にフィルムの改良がされ、1888年にアメリカのコダック社から現代の巻き取りができるフィルムが販売された。1935年にカラーフィルム、1948年にインスタントフィルムが発売された。1990年代にはパソコンの普及とともに画像をデジタル処理、デジタルデータとして保存することからデジタルカメラが世に広まった。

デジタルカメラは、大きく「レンズ一体型カメラ(コンパクトデジタルカメラ含む)」と「レンズ交換式カメラ(一眼レフ・ミラーレス)」に分類される。デジタルカメラの中でも、コンパクトデジタルカメラは発売当初、急速に市場を拡大したが、カメラ付き携帯電話やスマートフォンが登場したことにより、現在では大きく市場を縮小している。

一方で、レンズ交換式カメラは、市場が縮小傾向にある中でも、近年まで一定の需要を見せている。2020年には、デジタルミラーレスカメラが、それまで市場を牽引していたデジタル一眼レフカメラの販売台数を抜き、今後のカメラ市場を牽引する存在として注目されている。





市場の規模

一般社団法人カメラ映像機器工業会によるとカメラ市場は現在、総出荷金額ベースでデジタルカメラ98%、フィルムカメラ2%と両者の差が圧倒的なものになっている。カメラ出荷台数の推移を見ると、フィルムカメラの出荷台数は、ニコンFが登場した1959年の出荷台数約175万台から、ピークとなった1997年の3,667万台へと、約40年間で出荷台数を3,500万台近く増加している。これに対し、デジタルカメラは1999年の509万台が2008年には約1億2,000万台へと、わずか10年間で1億台以上も出荷台数が増加している。

しかし、その後はスマートフォンの台頭などで、カメラ市場の縮小が止まらず、2019年のデジタルスチルカメラ生産出荷台数は1,521万台、出荷金額は5,871億円まで減少した。さらに2020年には、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、出荷台数は前年比58.4%の888万台で、出荷金額は前年比71.6%の4,201億円と急激に落ち込んでしまった。



デジタルスチルカメラ生産出荷実績表
出典:http://www.cipa.jp/stats/documents/j/d-2020.pdf




企業別に売上を比較すると、キヤノン株式会社(イメージングシステム事業)は7,122億円、ソニー株式会社(エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業:静止画・動画カメラ)は3,841億円、富士フイルムホールディングス株式会社(イメージング ソリューション部門)は3,326億円などとなっている。





課題と展望

カメラ業界では市場の縮小が深刻な問題となっている。ピーク時には1億台を超えていた出荷台数は、手軽に高品質の写真や動画を撮影できるスマートフォンの台頭などにより、2019年には約9割減となり1,500万台に減少している。さらに2020年は新型コロナウイルス感染症の流行が追い打ちをかけ、800万台まで減少している。

フィルムカメラの出荷金額は、1959年の166億円が1981年に3,720億円となり、その後は20年近く横ばい状態であった。一方、デジタルカメラは1999年に2,279億円となりピークとなった10年後の2008年には2兆1,640億円と10倍に成長したものの、2020年は4,201億円まで減少している。

2006年にはコニカミノルタがカメラ事業から撤退、2018年はカシオ計算機がコンパクトデジタルカメラ事業から撤退、2020年にはオリンパスがカメラ事業を売却するなどしており、今後もカメラ市場縮小傾向を止めることは困難だと予測されている。




カメラ業界のM&A動向

カメラ製造業界では各社のカメラ事業の減益を補うための対策を講じている。現在、カメラ事業を安定的に継続するにはカメラの新技術へ注力する他、抜本的な策を講じる必要あると言われている。カメラ技術を応用することが可能な企業同士が、業務提携やM&Aすることで革新的な製品の製造など、新たな可能性を模索している。

2020年、オリンパス株式会社は、映像事業を新会社として分社化し、日本産業パートナーズ株式会社に譲渡することを発表した。カメラ市場が縮小する中、長年培ってきたオリンパスブランドを存続させるためのM&Aであった。

2016年、キヤノン株式会社は、東芝メディカルシステムズ株式会社をM&Aした。東芝メディカルシステムズ株式会社は、コンピューター断層撮影装置(CT)や超音波診断装置などの画像診断装置を手掛け、最近は検査薬にも参入している。キヤノン株式会社は、新規事業として医療機器業界への進出を狙っており、キヤノン株式会社の画像処理技術とカメラ生産で培った高い生産技術と東芝メディカルの医療機器技術とその販売網のシナジーを期待されてM&Aに至った。

2015年、キヤノン株式会社は、スウェーデンのアクシスの全株式を株式公開買い付けにより取得して、M&Aした。アクシスは物理セキュリティおよびビデオ監視むけのネットワークカメラを製造して179カ国・地域で販売している。
キヤノン株式会社は、2003年にデジカメ部門から独立して監視カメラの専門部署を設置して、今後のグループの成長原動力として位置付けている。アクシスは外部にカメラ製造を委託していたため、キヤノン株式会社のカメラ工場で製造したカメラ部品をアクシスへ供給できるようになる。またネットワークシステム製品を扱う販売・サービス網の拡充を図ってM&Aを行った。





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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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