非鉄金属(非鉄金属メーカー)業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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  • #業種別M&A動向
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業界の定義

非鉄金属会社とは、非鉄金属と呼ばれる鉄以外の金属、すなわち銅や金、ニッケル、アルミなどを扱う事業者のことを指す。非鉄金属はベースメタルとレアメタル、貴金属に分かれており、ベースメタルには銅、亜鉛、鉛、アルミニウムなどが分類され、レアメタルにはニッケル、コバルト、チタンなど、そして貴金属には金、銀、プラチナが分類される。

非鉄金属業界は、各業界の製品を作る上で上流に位置している。非鉄金属を加工してできた電材などが、自動車メーカーや電子部品メーカーなどの顧客に渡り、その後、国民の身の回りにある自動車や電車、家電など非常に多岐にわたる製品となり、生活を支えている。




業界の特色

非鉄金属業界イメージ画像

非鉄金属業界は、川上から川下へ資源開発、金属製錬、電材加工・環境リサイクルの順に3つの領域にわけることができる。非鉄金属業界内の川上にあたる資源開発事業は、鉱山を持つ資源メジャーと呼ばれる世界的巨大企業が主導していることから、海外で行われることがほとんどである。ただし、近年では国内企業における非鉄金属資源への投資も目立ってきており、大手企業による鉱山プロジェクトへの新規参画や出資が相次いでいる。非鉄金属業界内の川中にあたる金属製錬事業や川下にあたる電材加工事業・環境リサイクル事業は、国内でも主力事業として取り組んでいる企業が多い。

近年、非鉄金属業界では「都市鉱山」と呼ばれるワードに注目が集まっている。「都市鉱山」とは、都市部に集積される廃棄されたコンピュータやスマートフォン、家電製品などを指し、これらの廃棄物の部品にはレアメタルや貴金属が含まれている。「都市鉱山」に埋蔵されている金の総量は7,000トンともいわれており、川中や川下にあたる国内非鉄金属企業が利益拡大のために事業として取り組み始めている。




市場の規模

2016年の総務省の経済センサスによると、2015年の非鉄金属業界の製造品出荷額は9兆6,795億円となっており、2020年には約13兆円の規模となると予想されている。



産業中分類別製造品出荷額等及び付加価値額(従業員4人以上の事業所)
出典:https://www.stat.go.jp/data/e-census/2016/kekka/pdf/hinsan.pdf




過去に非鉄金属業界は2007年まで好調に業績を伸ばしたが、2008年より資源の価格の高騰により、業績は減少傾向となる。加えて、2008年後半にはリーマンショックの影響で電子機器や自動車関連部品の需要が大きく落ち込んだことと、銅やアルミニウムの相場の急落があった。2010年以降は若干の業績回復が見られたものの、ヨーロッパや中国をはじめとした先進諸国の需要低迷が大きな影響を及ぼし、非鉄金属業界全体の実績は平行線を辿った。

2013年以降に海外市場の自動車や住宅の需要が牽引して市場の活性化が見られたものの、2016年には円高の影響で非鉄金属業界全体で落ち込みがみられた。多くの非鉄金属企業は、原料となる鉱石は大半を海外から輸入し、それを製鉄所で生成して加工するビジネスモデルである。効率的に有用金属を抽出する等の技術力が大切ではあるが、業績に影響を及ぼすのはこの点ではなく、為替や資源の価格、世界の景気によるものが大きいといわれている。




課題と展望

非鉄金属業界の課題として、国内市場の成長制約、資源調達困難化があげられる。人口減少や電力・通信インフラなどの整備が完了している点から非鉄金属業界の国内市場における成長は大きく期待できない状況である。さらに、ハイテク化が進むなかで、世界的に資源の需要が高まっていること、特に中国においては近年、急激に需要が増加しており、資源調達が困難になっている。

また、環境・省エネ制約や海外のキャッチアップといった点も非鉄金属業界の課題になっている。資源を加工していく中で、有害物質規制や温暖化防止、省エネ化などはコストがかかっても、取り組まなくてはいけない使命である。技術流出の防止や、海外企業の台頭に対しても国内でコンセンサスをとるべき課題である。特に中国企業などの台頭は、国内企業にとって脅威になっている。

これらの課題を解決するためにも、「都市鉱山」の活用やリサイクル事業の強化、加工技術等の特許化など積極的に取り組む必要があるといわれている。




非鉄金属業界のM&A動向

非鉄金属業界では、市場の縮小に対応するため、大手・中堅企業によるM&Aや、中小企業による大手・中堅企業の傘下入りなどが続いている。M&Aの要因としては中国を中心とした需要およびニーズの高度化に対応するためや、数種類の金属鉱種を取り扱うことで企業の事業拡大してリスクの分散行う、規模の経済による物流や加工・販売の効率化、そして新たな金属・鉱物資源・新たな技術の獲得が挙げられる。

2019年、小野建株式会社は、鉄筋コンクリート用異形棒鋼の販売などを行う森田鋼材株式会社の株式を取得し、子会社化した。小野建株式会社は鉄鋼・建材商社として、地域密着型の経営を行っており、鉄筋コンクリート用異形棒鋼を加工から販売、施工も手がける地域密着型の優良企業の森田鋼材をM&Aすることで、関西での鉄筋関連事業の拡大を図った。

2019年、株式会社UEXは、住友商事グローバルメタルズ株式会社と株式譲渡契約を結び、住商特殊鋼株式会社を子会社化した。株式会社UEXはステンレス鋼などの金属材料販売や、金属加工製品の製造・販売などを行っている。一方、住商特殊鋼株式会社は特殊鋼鋼材や加工品などの販売を行う会社である。株式会社UEXUEXは、住商特殊鋼株式会社をM&Aすることにより、ステンレス鋼などの販売体制最適化を進めた。

2017年、三洋貿易株式会社は精密鋳造用副資材の輸入・卸売を行う日本フリーマン株式会社の全株式を取得し、子会社化した。三洋貿易株式会社は、ゴム・化学品・機械と環境・産業資材・化学機器の5事業をグローバル展開しており、日本フリーマン株式会社をM&Aすることで、精密鋳造用副資材の海外販売を図った。




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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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