設備工事(舗装工事 )業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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舗装工事業界では、事業承継問題や業界再編を背景に、M&Aが活発化しています。本記事では、舗装工事業界のM&A動向や市場規模、近年の主要なM&A事例、M&Aを活用するメリット、M&A成功のポイントなどについて詳しく解説します。今後のM&A戦略を考えるうえでの参考にしてください。

M&Aの前に押さえておきたい舗装工事業界の情報

まずはじめに、塗装業界の基本的な知識を確認しておきましょう。ここでは、舗装工事業界の定義や特色、代表的な企業について解説します。

舗装工事業界の定義

舗装工事業とは、道路などを路盤材で整地し、アスファルト混合物、セメント、コンクリート等で舗装する工事を担う事業のことです。舗装工事の目的は、道路の走行性や快適性を確保することにありますが、舗装された地面は雨や雪、紫外線など天候の影響によりダメージを受けやすく、破損しやすいという特性があります。そのため、耐久性のある道路が求められており、高い技術力や専門的な知識が必要とされる業界です。

また、町の景観を守るという観点からも、道路の舗装は重要な役割を担っています。舗装工事は大きく分けて以下の4種類に分類されます。

工事の種類概要
コンクリート舗装工事 コンクリートで舗装する工事。駐車場の舗装等に用いられる。
アスファルト舗装工事 アスファルトに砕石や砂を混ぜて加熱し、ローラーで転圧する工事。工期が短く、コスト効率が良いのが特徴。
ブロック舗装工事 コンクリート舗装の上にブロックを敷く工事。天然石やコンクリートブロックを使うことで、景観を維持しながら舗装できる。
路盤築造工事 道路の基礎部分を作る工事。上記3つとは異なる。耐久性が必要な道路では複数の層を重ねることも。

代表的な企業

舗装工事業界で代表的な企業は、以下のとおりです。いずれも高い技術を有し、近年ブームとなっている環境配慮の視点でも、製品・工法の開発に注力しています。

  • ・株式会社NIPPO
  • ・前田道路株式会社
  • ・日本道路株式会社
  • ・大林道路株式会社

舗装工事業界の特色

舗装工事業界は、景気による影響を大きく受けやすい点が特色です。景気が良いときには公共事業をはじめ需要が高まりますが、景気が下火になると需要は減少し、市場内での受注獲得競争が激化します。

また、高い技術力や品質が求められる業界であるため、技術力の高い企業や品質向上に努力している企業が市場で優位に立ちます。近年は環境意識の高まりから、舗装工事業界でも環境に配慮した取り組みが求められており、舗装材料の再利用や排水処理など環境に考慮した施工を行う企業が評価されるでしょう。

舗装工事業界のM&A動向・市場規模

国土交通省が国土強靭化対策を打ち出したことにより、高速道路リニューアル事業などの大規模なインフラ工事の発注が増加しています。高速道路5社に対する工事支出のうち、舗装工事業が関わる床版の張替え、床面やのり面の修繕工事等の支出は、前年度比53%増の1兆4679億円に上りました。今後もリニューアル事業は続く見込みであり、舗装工事業界の需要は堅調だと予測されています。

売上高ランキングでは、首位がNIPPO、2位が前田道路、3位が日本道路、4位が大林道路、5位が東亜道路工業となっています。

一方で、舗装工事業界の属する建設業界全体では、令和3年度末の業者数がピーク時(平成11年度末)から約21%減少し、令和4年時点での平均建設業就業者数もピーク時(平成9年平均)から約30%減少するなど、構造的な問題を抱えています。建設業界では高齢化も深刻化しており、担い手の不足や次世代への技術承継が大きな課題です。

建設業就業者の高齢化の進行

引用:建設業を巡る現状と課題│国土交通省

舗装工事業界のM&A事例

事業承継問題や業界再編を背景に、舗装工事業界ではM&Aが活発化しています。ここでは、近年の主要なM&A事例について見ていきます。

マイスターエンジニアリングと泰平建設

2024年3月、株式会社マイスターエンジニアリングは、泰平建設株式会社の株式を取得し、傘下に加えました。マイスターエンジニアリングは日本の産業・社会インフラを支えるサービスを提供しており、太平建設は道路の各種工事を手がける会社です。この買収により、マイスターエンジニアリングは太平建設の事業基盤の強化を支援すると共に、グループ全体として営業協力を行い、さらなる付加価値の提供を目指すとしています。

成友興業と木本建興

2024年1月、成友興業株式会社は、木本建興株式会社の全株式を取得し、完全子会社化しました。成友工業は、環境事業、建設事業および環境エンジニアリング事業を行なっている会社です。一方の木本建興は土木事業や水道工事事業、建築工事事業を営んでいます。このM&Aの狙いとしては、両社の技術交流や相互支援体制の充実、収益力と営業力の強化などが挙げられます。

清水建設と日本道路

2022年2月、大手総合建設会社である清水建設株式会社は、日本道路株式会社を連結子会社化しました。売り手となった日本道路は、道路舗装工事を中心に事業を行う会社です。協業関係を結ぶことで、受注の拡大や事業競争力の強化、人材交流など、シナジー効果の創出を期待し、M&Aの実施に至りました。

コンセックと丸金建設

2023年8月、株式会社コンセックは、丸金建設株式会社の株式を100%取得し、子会社化しました。コンセックは土木建設関連事業を、丸金建設は総合建設を、それぞれ行なっている会社です。コンセックはこの子会社化により、一層地域に根差した事業展開が可能となり、技術交流や相互支援体制の確立によりグループ全体の発展を狙うとしています。

佐藤渡辺とあすなろ道路

2023年3月、総合建設会社の株式会社佐藤渡辺は、舗装・土木工事会社のあすなろ道路の株式をすべて取得して、子会社化しました。佐藤渡辺は、北海道方面への商圏拡大を目的に、この子会社化を実施したとのことです。

アクティオとワールド開発工業

2021年9月、新生事業承継株式会社は、ワールド開発工業株式会社の全保有株式を、共同保有していた株式会社アクティオに譲渡しました。ワールド開発工業は道路舗装工事の事業をしている会社、アクティオは建設機械のレンタル会社です。新生事業承継株式会社の事業支援のめどがついたための譲渡であり、ワールド開発工業株式会社は株式会社アクティオと共にさらに事業発展を目指すとしています。

舗装工事業界でM&Aを活用するメリット

舗装工事業界においてM&Aを活用する主なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • ・事業の拡大につながる
  • ・技術力やノウハウ、リソースを確保できる

それぞれ見ていきましょう。

事業の拡大につながる

M&Aを活用することで、新しいエリアへの進出がしやすくなり、事業拡大につながります。その地域で強い企業に対してM&Aを実施することで、既存の経営基盤を活かしながら、新たな市場に参入することができるでしょう。
加えて、M&Aにより顧客や受注ネットワークも引き継ぐことができることも大きなメリットです。通常、新規取引先の開拓には多くの時間と労力を要しますが、M&Aによってその手間を省くことができます。

技術力やノウハウ、リソースを確保できる

M&Aを通じて買収先の技術力やノウハウを手に入れることで、自社の競争力を高めることができます。特に、舗装工事業界では、材料や工法に関する特許や知識が重要な経営資源となるため、これらを獲得することで企業価値を高め、市場での優位性を確立できるようになります。

また、M&Aにより設備や重機など、工事に必要なリソースを獲得することも可能です。舗装工事で使用される重機や設備のなかには高額なものも多く、自社で新規に購入するとなるとかなりの投資が必要となります。M&Aにより、これらの資産を引き継ぐことができれば、設備投資に関する大幅なコスト削減につながるでしょう。

舗装工事業界におけるM&A成功のポイント

舗装工事業界では、施工を行う従事者の技術力が非常に大切な経営資源となります。特に、保有する資格によって施工できる工事の規模が異なるため、より大きな規模の工事を受注し、売上を伸ばすには有資格者の確保が重要です。

そのため、M&Aを行う際には、対象企業がどのような人材を保有しているのか、どのような領域に強みがあるのかを事前にリサーチすることが不可欠です。自社の弱い面を補完できる、もしくは強みを増強できる要素を持つ相手を選定することが、M&A成功の鍵となります。

また、舗装工事業界には他業界とは異なる特性もあるため、自社だけでM&Aを進めるのは難しいケースが多いでしょう。業界への深い理解とM&Aに関する専門知識を有する、信頼できる専門家に依頼し、スムーズかつ正確に手続きを進めることが成功のカギとなります。

舗装工事業界における今後のM&Aの課題と展望

舗装工事業界が属する日本の建設業界は、深刻な労働力不足と技術継承の課題に直面しています。高齢化が進む中、技能者の約25.7%が60歳以上であり、今後10年以内に多くが引退する見込みです。これにより、長年培ってきた技術やノウハウの次世代への継承が大きな懸念となっています。

さらに、日本の人口減少も相まって、労働力の確保が一層難しくなっています。各社は安定した舗装工事需要がある一方で、それに応えるだけの人材の確保に苦戦している状況です。このような環境下において、M&Aの実施は即戦力となる人材を迅速に確保できる手段として注目されています。深刻化する労働力不足への効果的な対策となるため、今後も舗装工事業界におけるM&Aは一層活発化していくと予想されます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社企業情報部 課長高橋 祐基
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 課長
高橋 祐基

生命保険会社を経て、独立系ブティックでアドバイザリー業務に従事。
当社参画後は、建設業界の大型M&Aや上場企業からのカーブアウト等、数々の成約実績を有する。


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