レジャー業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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レジャー・アミューズメント業界では、コロナ禍からの回復に伴い、M&Aが活発化しています。市場規模の拡大や新たなニーズへの対応、経営資源の効率的な活用など、さまざまな目的でM&Aが行われているのが現状です。

本記事では、レジャー・アミューズメント業界のM&A動向を詳しく解説します。代表的な事例や成功のポイント、今後の展望についても紹介しますので、M&Aを検討中の経営者様は、最後までご参照ください。

M&Aの前に押さえておきたいレジャー・アミューズメント業界の情報

レジャー・アミューズメント業界は、人々の余暇時間を豊かにする、多様なサービスを提供しています。この業界の特徴や代表的な企業、最近の動向について、M&Aを考慮するうえで押さえておくべき情報を紹介します。

レジャー・アミューズメント業界の定義

レジャー・アミューズメント業界は、余暇を楽しむための施設やサービスを提供する業界です。アミューズメントの代表的なものとしては、ゲームやカラオケ、映画などがあります。

さらにレジャーでは、遊園地や博物館、動物園、アウトドア施設、大型テーマパークなどが含まれます。この業界では、業態が広範囲にわたり、それぞれの境界線は明確ではありません。相互に連携した構造をとっているのが特徴です。

代表的な企業

レジャー・アミューズメント業界における代表的な企業としては、以下のような企業が挙げられます。

  • ・株式会社バンダイナムコホールディングス
  • ・株式会社オリエンタルランド
  • ・セガサミーホールディングス株式会社
  • ・株式会社AOKIホールディングス

これらの企業は、ゲームセンターやテーマパーク、ホテル事業など、幅広いエンターテインメント事業を展開し、業界をリードしています。

レジャー・アミューズメント業界の特色

レジャー・アミューズメント業界の業務は、多岐に渡ります。レジャー施設のスタッフや運営・保守・管理はもちろん、オフィスでのプロモーション戦略の立案や、経営管理なども含まれます。

さまざまな業態を含む業界であるため、分野によっては、市場傾向に差があるといわざるを得ません。特に、ウィンタースポーツやゴルフなどの分野に注目してみると、最近は縮小傾向にあります。

また、インバウンド(訪日外国人客)の消費動向や、子供をはじめとした人口の増減によって影響を受けやすい点が、レジャー・アミューズメント業界の特色といえます。

レジャー・アミューズメント業界の市場規模・動向

レジャー・アミューズメント業界の市場規模は、新型コロナウイルス感染症の影響から回復傾向が見られます。公益財団法人 日本生産性本部の調査によると、2022年の余暇関連産業全体の市場は約62兆8,230億円で、前年比12.7%の増加となりました。

特に、シアター系鑑賞レジャー(音楽、映画、演劇鑑賞)市場や、レジャーランド市場の伸び率が大きくなっています。コロナ禍の外出自粛による、リベンジ消費の影響が強く現れていると考えられます。

また、東京商工リサーチの調査では、2022年度、国内の遊園地・テーマパークを運営する182社のうち145社(79.6%)が増収しており、コロナ禍以前の水準に向けて回復傾向にあることが伺えます。

遊園地・テーマパーク対前年増減収別

レジャー・アミューズメント業界のM&A事例

レジャー・アミューズメント業界では、近年さまざまなM&Aが行われています。ここでは、業界内の代表的なM&A事例をいくつか紹介します。

これらの実例から、業界の動向や企業の戦略を読み取ることが可能です。

富士急行と伊豆箱根鉄道

富士急行株式会社は、伊豆箱根鉄道株式会社が神奈川県箱根・芦ノ湖で運営する「遊覧船事業」を、譲り受けることで合意しました。このエリアは大変人気が高く、海外からの観光客にも評判で、多くの来場が見込まれます。

富士急グループでは、この事業譲受を機に、春休み・ゴールデンウィーク・夏休みに向けて、家族で楽しめるイベントやリニューアルを計画中です。遊覧船を中心とした、芦ノ湖の新たな魅力を発信することを目的としています。

エイチ・アイ・エスとPAG HTB Holdings

株式会社エイチ・アイ・エス(以下、HIS)は、連結子会社であるハウステンボス株式会社について、HISが所有する全株式をPAG HTB Holdings株式会社に譲渡しました。

PAG HTB Holdingsは、PAG Asia Capital Limitedとその関連会社(以下、PAG)が運用するプライベート・エクイティ・ファンドが管理する特別目的会社です。

HISは、ハウステンボスが黒字化したことを受け、以下のような条件に該当する、グループ外のパートナーを模索していました。

  • ・テーマパーク事業に関する知見を有している
  • ・機動的かつ柔軟に資金供給を行うことができる
  • ・ハウステンボスと連携をより強力にしたうえで、事業を追求する

一方、PAGはエンターテインメント業界を投資における注力分野の一つとしており、この買収によって、さらなる事業拡大を目指しています。

アイ・レジャー・エンターテインメントとMOFF

カワスイ川崎水族館の運営事業を行う株式会社アイ・レジャー・エンターテインメントは、水族館・飲食・物販事業、その他の付随事業を株式会社MOFFに事業譲渡することで合意し、契約を締結しました。

MOFFは屋内動物園や屋内動物カフェを手がけており、当該施設では、動物たちとのふれあいを大切にしています。今後も、生きものや生態環境の魅力を伝えられる水族館営業を志す考えです。

GENDAとセガエンタテインメント

株式会社GENDAは、株式会社セガ エンタテインメントの株式の85.1%を取得しました。

GENDAは、アミューズメントマシンレンタル事業、オンラインクレーンゲーム事業、セールスプロモーション事業などを展開する企業です。

一方、セガ エンタテインメントは、全国的なエンタテインメント施設を運営しています。この買収により、GENDAはセガと協業することで、ユーザーへのさらなる楽しさの提供と業界の活性化を目指します。

日本駐車場開発と那須興業

日本駐車場開発株式会社は、連結子会社である日本テーマパーク開発株式会社を通して、那須興業株式会社の全株式を取得し、子会社化しました。

那須興業が運営する「那須りんどう湖レイクビュー」は、那須エリアを代表するレジャー施設として評判です。今回のM&Aは、グループのテーマパーク事業における収益の安定化とサービスの拡充が目的とされています。

日本駐車場開発は、このM&Aを通じてグループ全体の業績向上と共に、那須エリアの発展を期待しています。

遊技場施設

レジャー・アミューズメント業界でM&Aを活用するメリット

レジャー・アミューズメント業界では、M&Aを活用することで、さまざまなメリットが得られます。経営資源の共有から市場シェアの拡大まで、業界特有の課題解決や成長戦略に有効な手段となっています。

経営資源を共有できる

レジャー・アミューズメント業界でM&Aを実施すると、経営におけるコスト削減が見込まれます。例えば、施設運営のノウハウを有する企業を取り込むことができれば、オペレーションを合理化でき、効率的な施設運営が可能となります。

また、「規模の経済」※を活用して商材や機材の大量購入を行えば、仕入れコストを抑えられるはずです。自社単独では導入が難しい新サービスの開発や大型の設備投資も、相手企業の経営資源を活用することで、実現の可能性が高まります。

※規模の経済とは、企業が生産規模を拡大することで得られる経済効果のことです。

市場シェアを拡大できる

レジャー・アミューズメント業界でM&Aを行うことにより、市場シェアを拡大できます。施設を新規に増やす場合は事業計画ののち、出展地域の選定、周辺地域の競合調査、物件探し、必要機材の準備・調達など複数の手順を踏む必要があります。

特に映画や演劇、音楽を鑑賞する施設では、興行場法に基づき都道府県知事の許可が必須です。ゲームセンターでは、風俗営業許可が必要となるように、業態に応じて許認可を取得しなければなりません。さらに、スタッフの採用活動・育成と、収益を生むまでに長い時間とコストが必要です。

M&Aを実施すれば、既存の店舗や機材、許認可およびスタッフを引き継ぐことができるため、多くの店舗を早期に展開し、かつスピーディな黒字化が期待できます。

また、自社が進出していない地域の企業を買収すれば商圏を広げられ、市場シェアの拡大にもつながります。

レジャー・アミューズメント業界におけるM&A成功のポイント

レジャー・アミューズメント業界は、さまざまな産業・業態が融合する構造を持っています。そのため、M&Aの相手を選定する際には、自社とのシナジー効果が期待できる相手であるかを見極めなくてはなりません。

例えば、同業界とのM&Aにより複合型レジャー施設を建設したり、隣接する業種であるバス・鉄道業界とのM&Aで、交通とレジャー・アミューズメントの連携強化を図ったりする方法があります。

同業種だけでなく、異業種にも目を向けましょう。IT・デジタル業界の企業とのM&Aによって、入場チケットの電子化、混雑状況をスマートフォンで確認できるサービスの提供等が実現すれば、他社との差別化になり、市場競争力の向上を見込めます。

レジャー・アミューズメント業界は、トレンドの変動が激しい点にも留意が必要です。常に市場やニーズの変化に目を向け、最適なタイミングでM&Aを検討することが、成功のカギとなります。

レジャー・アミューズメント業界における今後のM&Aの課題と展望

今後のレジャー・アミューズメント業界を考察する際は、コロナ禍以降のニーズの変化に注目する必要があります。2022年10月以降、外国人旅行者の受け入れが本格的に再開され、インバウンドが増加しています。

国内では、ひとり旅、ひとりカラオケ、水族館や美術館のおひとり様限定プランなど、「おひとり様」や「ソロ活」需要が増加中です。また、無人化・非接触化・デジタル化の意識は現在でも定着しており、サービスのオンライン化や、オンライン・オフラインの融合したサービスが求められています。

今後は、インバウンド・おひとり様需要にマッチするサービスの拡充や、デジタル技術と融合した革新的なサービスの開発により、コロナ禍以降拡大しつつあるニーズを的確に取り込まなくてはなりません。業種の垣根を越えたM&Aは、有効な手段になると期待できます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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