飲料(飲料メーカー)業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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  • #業種別M&A動向
  • #飲料(飲料メーカー)業界 M&A

業界の定義

飲料業界は大きく清涼飲料、牛乳・乳飲料、酒類に大別される。清涼飲料とは炭酸飲料・茶系飲料・コーヒー飲料・ミネラルウォーター・スポーツドリンクなどのことを指す。 牛乳・乳飲料とは牛乳・加工乳・乳飲料のことを指す。 酒類とは、アルコール分1度以上の飲料を指し、ビール類とそれ以外に大別される。ビール類とはビール・発泡酒・新ジャンルのことをいい、ビール以外とはチューハイ・ワイン・焼酎・ウイスキーなどをいう。ビールに関しては、麦芽使用率と使用原料によって分けられる。ビールは原料の3分の2以上が麦芽で作られており、副原料も使用可能なものが制限されている。発泡酒は麦芽の使用量が3分の2以下で副原料の使用制限がなく発泡性を有する種類のことをいう。


業界の特色

飲料業界イメージ

業界の定義でも記載した通り、一言に飲料と言っても様々な種類に分類される。 また、各飲料カテゴリにおいて、専門メーカーから多種を展開するメーカーなど様々存在しているのが特徴である。

飲料業界の代表的な団体として、一般社団法人全国清涼飲料連合会がある。団体を構成している代表的なメーカーには、日本コカコーラ、サントリー食品インターナショナル、アサヒ飲料、伊藤園、キリンビバレッジ、ダイドードリンコなどが名を連ねている。 一方、酒類を製造している代表的なメーカーは、アサヒビール株式会社、キリンビール株式会社、サントリー株式会社、サッポロビール株式会社、オリオンビール株式会社、霧島酒造株式会社などである。

市場の規模

株式会社矢野経済研究所の調査によると、2021年度の飲料総市場規模(牛乳・乳飲料を含む)は予測値で4兆7,000億円、前年度比98.6%であった。飲料は食品に近く、生活に必要なものであるため、景気に比較的左右されない。ただ、新型コロナウイルスの影響による外出自粛やリモートワークの浸透などにより、売上はやや落ちた。これは、外出の機会が減り、ペットボトルや紙パックの飲料の購入量が減ったことによるものだろう。コロナ禍以前からの長期的な目線で見ると、炭酸飲料は伸び悩んでもトクホなど健康系飲料が伸びるなど微増ではあるが市場規模は拡大を続けている。しかし国内消費の頭打ちが鮮明になってきており各企業は海外展開に注力し始めている。


矢野経済研究所資料_飲料総市場規模推移
出展:飲料市場に関する調査を実施(2021年) │株式会社矢野経済研究所




2018年の酒類総市場規模は見込みではあるが3兆5,100億円となっている。

矢野経済研究所資料_酒類総市場規模推移
出展:酒類市場に関する調査を実施(2021年) │ 株式会社矢野経済研究所


企業別の売上高は、サントリーホールディングスが2兆5,592億円、アサヒグループホールディングスが2兆2,361億円、キリンホールディングスが1兆8,215円、サントリー食品インターナショナルが1兆2,689億円、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスが7,858億円、サッポロホールディングスが4,372億円となっている。

サントリーは2014年にビームのM&Aやサントリー食品ヨーロッパの設立により海外売上高比率を大きく伸ばしている。2015年にはジャパンビバレッジホールディングス・ジェイティエースターもM&A。相次ぐM&Aにより規模を拡大している。


課題と展望

国税庁・課税部酒税課作成の「酒のしおり」による「種類消費量と成人人口の推移」では、日本人の飲酒量は確実に減少している。種類消費量は1996年をピークに減少に転じている。特に20〜29歳における酒離れが顕著になっており、世代交代にともなう更なる酒類消費量の減少にいかに対応するかが課題と言える。

飲料は人々の生活には欠かせないものだが、時代によって求められる飲料の種類は変化し続けている。近年、高齢者層を中心にトクホ飲料(特定保健用食品の機能を持つ飲料)が伸び、若年層を中心にエナジードリンクの人気が高まっている。しかし、これまで順調に伸びてきた炭酸飲料や缶コーヒーは減少している状況である。背景には、健康意識の高まりによる若者層のジュース・サイダー類離れ、コンビニコーヒーの人気に伴う缶コーヒーの売上減少などが予測される。縮小する市場に対応して大手各社は、経営の多角化を進めている。伊藤園は、タリーズコーヒージャパンをM&A。サントリーやアサヒは、サプリメントをはじめとする食品事業に進出しており、キリンは協和発酵やファンケルをM&Aして医療やバイオケミカル分野に経営資源を投入している。
また、市場の大きな課題として、国内の人口減少に伴う規模縮小の憂いがある。特に人口減少は避けられない事態であり、市場の縮小への対策としては、海外市場の開拓が鍵になりそうだ。


飲料業界のM&A動向

飲料業界では、国内における大手が中小を取り込む業界再編型や、海外における事業拡大型などさまざまなM&Aが盛んである。原材料高騰によるスケールメリット追求など経営環境の変化に対応して今後もM&Aは国内・海外ともに増加する傾向である。

―主な事例―

  • -2019年7月、アサヒグループホールディングスがアンハイザー・ブッシュ(AB)インベブ(主なブランドはバドワイザー)傘下のオーストラリアのビール会社カールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズを買収することで合意した。アサヒGHにとって欧州に次ぐ海外市場であるオセアニア地域のビール会社カールトンを取得することで酒類の売り上げを大幅に増やすことが図られた。

  • -2016年4月、コカ・コーラウエスト株式会社とコカ・コーライーストジャパン株式会社が経営統合した。このM&Aにより競争力を強化し、市場の変化への対応が迅速化されることでサービスや価値の充実度が上がることが図られた。

  • -2016年9月、サッポロホールディングス株式会社は、味噌・即席味噌汁・フリーズドライ製品の製造販売を手掛ける宮坂醸造株式会社の株式51%を取得し、同社のグループ傘下に加えた。このM&Aにより、食品領域の拡大を通して、サッポログループ全体の成長戦略の加速が図られた。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社企業情報部 部長桑原 正樹
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 部長
桑原 正樹

大手証券会社入社後、未上場企業・オーナー経営者の資産運用コンサルティングに従事。
2015年に当社入社後はM&Aアドバイザリーとして事業承継に関わる数多くの仲介実績を有する。

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