惣菜業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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業界の定義

惣菜業は、一般社団法人日本惣菜協会によると「市販の弁当や惣菜など、家庭外で調理・加工された食品を家庭や職場・学校・屋外などに持ち帰ってすぐに(調理加熱することなく)食べられる、日持ちのしない調理済食品」としている。そのため事業所向け給食および、調理冷凍食品やレトルト食品など比較的保存期間が長い食品は含まない。

 

業界の特色

惣菜業界イメージ画像

惣菜業界は、食品の業界において、家や職場や家庭外で調理や加工された食材を食べる「中食業界」に分類される。食品の業界は他にも、家の外で食べる「外食業界」、手作りの家庭料理を家で食べる「内食業界」がある。

 

惣菜業者の大多数は、惣菜の販売に加え、食品の調理や加工を行っている。販売される惣菜の種類としては米飯類、調理麺、調理パン、一般惣菜(和・洋・中華、煮物、焼き物、炒め物、揚げ物、蒸し物、酢の物)、袋惣菜があげられる。

 

惣菜業者は食材の調理・加工を行っているため、セントラルキッチンを構えている店舗が多い。調理した惣菜の販売方法は、店舗販売かデリバリーとなっている。店舗販売は、スーパーやコンビニエンスストアなどで販売しており、デリバリーは、店舗で電話注文やネット注文を受け、指定された配送場所に配送する仕組みになっている。

 

市場の規模

一般社団法人日本惣菜協会の「2020年版惣菜白書」によると、2019年の市場規模は10兆3,200億となり、10年前の2009年が8兆540億円、2017年が10兆555億円、2018年が10兆2,518億円であったことから、年々成長している。成長市場である要因としては、単身世帯・共働き世帯の増加などの社会背景や、物流システムの進歩などが考えられる。

 

惣菜業界グラフ
出典:http://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/wp-content/uploads/hpb-media/hakusho2020_digest-20200520.pdf






惣菜の売上の内訳としては、コンビニエンスストアが3兆3,632億円で32.6%、惣菜専門店が2兆8,961億円で28.1%、食料品スーパーが2兆7,406億円で26.6%、総合スーパーが9,639億円で9.3%、百貨店が3,560億円で3.4%となっている。

また、食料品スーパーでは、イートインスペースを設け、新たな顧客ニーズの獲得に成功した。イオンや成城石井、ヤオコーではスーパーで売られている食材を調理して、その場で食べられる「グローサラント」が導入された。さらに、セントラルキッチンをつくって人を集約化することで効率化を図る等の工夫がされている店舗も多くなってきた。





課題と展望

惣菜業界の市場規模は拡大傾向にある中で、2019年10月に消費税の増税が行われた。飲食料品においては、食品表示法に規定する食品に対して、軽減税率が適用されることになったが、イートインスペースで食べる惣菜に関しては軽減税率が適用されていない。

また、2020年には新型コロナウイルス感染症の流行が惣菜市場にも大きな影響を及ぼしている。外出自粛により外食および中食の売上は減少し、ライフスタイルが内食へと変化している。

惣菜業界のM&A動向

惣菜業界では様々な種類のM&Aが行われている。同業間での規模やエリア拡大を目的としたM&Aだけでなく、生産工場や販売機能拡大のためのM&Aが活発に行われている。また、外食業界といった周辺の異業界から惣菜業界へ参入するためのM&Aや、顧客のニーズや流行の変化が著しい業界であるためその環境に適応するために業態・業種を超えたM&Aが行われる。

2008年7月、ワタミ株式会社が株式会社タクショクの全株式を取得した。株式会社タクショクは、弁当や食材を製造・宅配をしており、減塩・低カロリーのお弁当は一人暮らしのお年寄りなどをターゲットとしていた。当時、高齢介護事業を展開していたワタミ株式会社が株式会社タクショクを取り込むことで、高齢者へむけたサービスの相乗効果を期待してM&Aしたところ、株式会社タクショクの業績は年商80億円から約400億円まで成長した。

2019年、持ち帰り弁当販売店、ほっかほっか亭フランチャイズをプロデュースする株式会社ハークスレイは仕出し料理やケータリング事業を中心に展開する株式会社味工房スイセンを株式譲渡により子会社化した。株式会社ハースクレイは惣菜事業の拡大と株式会社味工房スイセンが得意とする高齢者向け事業への参入を狙ってM&Aが行われた。また、株式会社ハースクレイは2019年にもおこわ販売事業展開の株式会社メイテンスの株式取得しており、高齢者の食市場の更なる開拓を目的として2社をM&Aをしている。

2017年、株式会社ショクブンと株式会社神明は、資本業務提携を締結した。株式会社ショクブンは、家庭用総合食品の宅配や業務用食料品販売を行っている。株式会社神明は、米穀および食料品等の生産、加工、販売などを行っている。この資本業務提携により、食材・商品の共同仕入、開発体制の構築や販売体制の拡充による営業力の強化と業務拡大が図られた。


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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社企業情報部 部長桑原 正樹
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 部長
桑原 正樹

大手証券会社入社後、未上場企業・オーナー経営者の資産運用コンサルティングに従事。
2015年に当社入社後はM&Aアドバイザリーとして事業承継に関わる数多くの仲介実績を有する。

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