AI・IoT業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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AI・loT業界は世界市場で近年急激な伸びを続けており、この傾向は当面続く見込みです。

一方、日本におけるAI・loTは上場企業をはじめさまざまな企業でニーズの高まりを見せているものの、諸外国と比べるとあらゆる産業で導入が遅れている状況です。今後はさまざまな分野で、海外との差を埋めるための努力が行われていくでしょう。

このような状況の中、AI・loT業界では、事業拡大や新技術獲得のためのM&Aが活発に行われています。

そこで本記事では、AI・loT業界の市場規模や動向、代表的なM&A事例などを紹介したうえで、M&Aで得られるメリットや成功するためのポイントについて解説します。

M&Aの前に押さえておきたいAI・loT業界の情報

M&Aについて解説する前に、AI・loT業界の定義や、代表的な企業、業界の特色などについて押さえておきましょう。

AI・loT業界の定義

AI(人工知能)は、一般的に「人間の知能をコンピュータで再現する技術」と理解されていますが、これは現状では、AIを明確に定義する言葉とはいえません。

「AI」という言葉は、米国の計算機科学者であるジョン・マッカーシー教授が、1956年に初めて使用しました。その際マッカーシー教授は、AIについて「知的な機械やプログラムを作る科学と技術」と説明しています。しかし近年では、多くの研究者がさまざまな言葉でAIを説明しているため、明確な定義が存在しない状況です。

一方、IoTとは、「Internet of Things」の略語で、人々の身の回りにあるものとインターネットをつなぐ技術のことを指します。センサーやインターネットを通じて入手したデータを人やモノに送信する、というのがあらゆるIoTに共通する基本的な仕組みです。

例えば、スマートフォンなどのデバイスで施錠・開錠ができる「スマートロック」や、自宅にいるペットの動きを感知して餌を出す「ペット見守りカメラ」などがIoTの代表例となります。

代表的な企業

AI・loT業界には大小さまざまな企業がありますが、そのなかでも特に代表的な企業が、以下の4社です。

  • ・Appier Group 株式会社
  • ・株式会社ブレインパッド
  • ・株式会社日立製作所
  • ・三菱電機株式会社

AI・loT業界の特色

日本におけるAI・loT業界の特色としては、他国と比べて導入が遅れていることが挙げられます。その進捗具合は中国の85%に対して日本は39%で最下位となっており、特に「エネルギー」や「ヘルスケア」分野では導入の遅れが顕著な状況です。

また、国内のみで比較すると、「大企業」が「中小企業」よりも、「製造業」が「非製造業」よりも、AI・IoT共に活用している傾向にあります。

【AIの活用状況】

  • ・大企業:16.5%
  • ・中小企業:5.6%
  • ・製造業:11.6%
  • ・非製造業:10.3%

【IoTの活用状況】

  • ・大企業:23.1%
  • ・中小企業:15.7%
  • ・製造業:29.6%
  • ・非製造業:17.1%

AI・loT業界の市場規模・動向

世界のAI市場は2022年に前年比78.4%増の18兆7,148億円に達し、2030年まで緩やかに成長すると予測されています。日本市場に目を向けると、日本のAIシステム市場は2022年に3,883億6,700万円(前年比35.5%増)であるのに対し、2027年には1兆1,034億7,700万円に拡大する見通しです。

また、世界全体のIoTデバイス数は2024年に398.6億台、2025年には440.2億台にのぼると予測されており、2018年の208.7億台から見ると約2〜2.1倍に増加すると見込まれています。

AI市場、IoT市場共に世界全体として増加率が著しく、日本においても市場競争に負けないための技術の開発が迫られています。

AI市場規模

引用:令和5年 情報通信に関する現状報告の概要

AI・loT業界のM&A事例

冒頭で述べたように、AI・loT業界ではM&Aが非常に活発に行われています。そのなかでも特に有名な事例が、以下の5例です。

ルネサス エレクトロニクスとDialog Semiconductor Plc

2021年8月、東京に本社を置くルネサスエレクトロニクス株式会社は、米国Dialog Semiconductor Plcの全発行済株式を取得し、子会社化したことを発表しました。

Dialog Semiconductor Plcは米国のアナログ半導体企業で、IoT・AIを活用した自動車や家電との間のコネクテッド技術を開発しています。

ルネサスエレクトロニクス株式会社は、今回の子会社化により、Dialog Semiconductor Plcの持つコネクテッド技術を用いた自動車領域でのソリューション拡大を目指します。

ヒビノとCerevo

2022年11月、ヒビノ株式会社は、株式会社Cerevoの株式を取得し、連結子会社化を実施しました。

ヒビノは、プロ向けに音響・映像機器の販売、大型映像サービスを提供するAV&ITのトータル・ソリューション企業です。一方のCerevoは、IoT技術の開発を中心にIoTを中心としたハードウェアの製造開発を行っています。

このM&Aによってヒビノは、Cerevoの持つソフトウェアやハードウェア開発の技術およびIoT技術を活用し、AV&ITサービスの向上と拡充を図ることを目指します。

ZEROとトリプルアイズ

2024年2月、ZERO株式会社と株式会社トリプルアイズは、資本業務提携契約を締結しました。

ZEROは、無人販売機「fuubo」を通じて、フードロスの削減を目指す会社です。ZEROは、このM&Aにより、自社の無人販売機にトリプルアイズの有するAIによる顔認証システムを融合させることで利便性を向上させ、利用者層の拡大と共に新たなビジネスモデル創出による社会貢献を目指します。

弥生とMiletos

2023年12月、弥生株式会社は、Miletos株式会社との資本業務提携契約を締結しました。

弥生は、会計ソフト「弥生会計」をはじめバックオフィス関連サービスの提供を行う会社です。一方のMiletosは、AI技術を活用し経費精算を行うシステムや、自動入金消込などのプラットフォームを提供しています。

弥生はこのM&Aにより、システムの共同開発とサービス領域拡大を目指します。

REAとJR

2023年4月、株式会社REAは、株式会社JR 西日本イノベーションズと資本提携を行うと同時に、西日本旅客鉄道株式会社と業務提携契約を締結したことを発表しました。

REAは、AI 乗合配車システム「Noruuu」の開発などを行う会社です。このM&Aにより、REAが開発するシステムを使い、自治体や交通事業者へのさらなるサービス提供拡大を目指します。

IT・ソフトウェア開発

AI・loT業界でM&Aを活用するメリット

AI・IoT業界でM&Aを活用する代表的なメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

  • ・新技術やノウハウをすぐに獲得できる
  • ・圧倒的なスピードで他分野に参入できる

それぞれ見ていきましょう。

新技術やノウハウをすぐに獲得できる

AI・IoT業界でM&Aを活用する1つ目のメリットは、新たな技術開発に必要な人材やノウハウなどを短期間で獲得できることです。

自社単独での研究開発には多大な時間がかかるうえに、必ず成功するとも限りません。しかし、既にAI技術を持つ企業を買収すれば、その時間を省略し、迅速に新技術やノウハウを取得できます。

圧倒的なスピードで他分野に参入できる

AI・IoT業界でM&Aを活用する2つ目のメリットは、他分野からの参入をスピーディーに行えることです。

自社がAI・IoT業界ではない場合、AI・IoT業界に新規参入するためにはさまざまなリソースを外部から調達しなければなりません。資金はもちろんのこと、設備や優秀な人材などを揃えなければ、スタートラインに立つことすらできません。

ですが、参入したい業界や業種に関連するAI企業を買収することで、他社に遅れを取らずに新分野へ進出が実現できます。

AI・loT業界におけるM&A成功のポイント

AI・IoT企業を買収する際には、相手企業が独自の技術や優秀な人材を持つ企業であるかを見極めることが大切です。

他の業界と比べAI・IoT業界は技術の進歩がめざましく、世界規模での激しい開発競争が日夜行われています。こうしたなかで、売り手・買い手双方の技術を融合させ、革新的な技術の開発が実現できれば、市場での優位性の確立が期待できるでしょう。

また、日本企業のデジタル化の課題として「人材不足」を挙げる企業が41.7%となっており、米国・中国・ドイツの3ヶ国に比べて非常に多い割合を占めています。今後も成長が見込まれる世界のAI・IoT各社に後れを取らない企業になるためにも、人材不足の解消、そして、優秀な人材の獲得は大切な要素です。

AI・loT業界における今後のM&Aの課題と展望

AI・loT産業は急速に成長しており、今後も拡大が期待されています。AI・loT企業はゼロからの開発が困難なため、多くの企業がM&Aを活用して他社のAI技術を獲得しようとしています。

また激化するAI・loT市場では。競争力強化や事業拡大を目的としたM&Aも活発に行われており、今後も需要は増加する見込みです。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社企業情報部 部長山﨑 研
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 部長
山﨑 研

大手証券会社にて上場・未上場企業オーナーの資産運用およびIPO支援・M&A支援に従事。
2011年から当社に参画し、現在は社内トップクラスのM&A成約実績を重ねている。

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