航空機業界 市場規模や買収・売却事例について解説

航空機業界市場規模や買収・売却事例について解説のメインビジュアルイメージ

更新日

  • #業種別M&A動向
  • #航空機業界 M&A

業界の定義

航空機業界とは、飛行機・滑空機・飛行船及び気球のような航空機の製造を行う事業のことを指す。

主な業務内容には、航空機の開発・設計や、生産技術、現業・技能がある。開発・設計は、新技術や新しい素材を活用し、航空機の性能や機能、デザインを部品から開発・設計する業務である。生産技術とは、部品の製造や組立の手順や使用する機械などを計画する業務である。効率の良い製造工程を実現するために、開発・設計者との調整も行う。現業・技能とは、実際に部品の製造や組立を行う業務である。製造機器のオペレーションや、手作業による工程を担当する。





業界の特色

航空機業界イメージ画像

日本国内において自社で航空機を設計して、機体を製造している企業は三菱航空機株式会社(三菱重工業の子会社)・川崎重工業航空宇宙システムカンパニー(川崎重工業の社内カンパニー)・SUBARU航空宇宙カンパニー(SUBARUの社内カンパニー)・新明和工業株式会社のメーカーの4社と、オーダーメイドで小型機の設計ををする有限会社オリンポスがある。その他、航空機の部品を製造してメーカーへ納入する企業が数大く存在している。世界ではアメリカのボーイング社とフランスのエアバスの2社でジェット機全体の9割を占める。小型ジェット機ではカナダのボンバルディア社とブラジルのエンブラエル社がある。

航空機は数多くの部品で構成されており、数多くの企業が関連している。例えばボーイング社のB777は約300万点の部品で製造されているため、産業構造の裾野が広い。エンジン、機体の装備品(脚部品、駆動装置、タイヤ、厨房、化粧室シート、機内娯楽装置)、機体の素材(炭素、アルミ、ニッケル等)など様々なパーツを組み合わせることで1つの航空機ができる。また航空機自体の商品サイクルが数十年と長期的な事業の安定化が期待出来るといった特徴がある。






市場の規模

経済産業省が発表した「航空機装備品産業の現状と施策」によると、2019年の国内航空機産業全体の市場規模は約1.8兆円であり、過去5年間で7,000億円増加している。2030年には3兆円を超えると期待している。




航空機装備品産業の現状と施策
出典:https://www.aero.jaxa.jp/news/event/pdf/event190314/sobihin01.pdf





一方で、世界の航空機市場をみると、民間航空機市場は年率約4.4%で増加し、今後20年間の市場規模は約16兆ドル程度と、現在の2倍になる見通しである。旅客需要および貨物需要が人口増加、経済の活発化、およびLCCの成長により増大されることが予想されている。特に近年では、中国を含むアジア市場が拡大を続けており、今後も世界の航空機市場をアジアが牽引することが予測されている。

企業別(社内カンパニー含む)の売上を比較すると、川崎重工業航空宇宙システムカンパニーが5,325億円、SUBARU航空宇宙カンパニーが1,341億円、新明和工業株式会社が389億円、三菱航空機株式会社が68億4,700万円などとなっている。






課題と展望

2019年の航空機業界の日本の市場規模は約1.8兆円であり、世界主要国の航空機業界の市場規模は約49.2兆円と世界に比べるととても小さい市場であると言える。これは言い換えると日本の航空機業界はまだ成長の余地がある業界であると言える。

日本政府は、2030年までに航空機産業の売上高を現在の1.7倍まで引き上げる方針を発表しておりこれからの販売拡大の為、ボーイング社との技術協力に合意を交わすなど、日本の航空産業の更なる発展に向けた取り組みを続けている。





航空機業界のM&A動向

航空機産業の発展においては、重工メーカーが大きな役割を果たすだけでなく、協力メーカー、素材メーカー、工作機械メーカー等の存在も欠かすことができない。これら、数多くの企業の技が組み合わさり、巨大な裾野を持つ「航空機産業」という一つの産業を形成してきた。近年では、産業規模の拡大とともに参入企業も増加しており、自動車加工で培った技術・ノウハウを活かして新たに参入するなど、産業の裾野は広がりを見せている。また、技術力を高めた中小企業が、その高い実力を評価され、技術導入のためのM&Aや、事業拡大のためのM&Aが活発に行われている。

2019年、積水化学工業株式会社は、米航空機部品メーカーのAIMエアロスペース社をM&Aした。このM&Aにより、積水化学工業株式会社は、AIMエアロスペース社が持つ炭素繊維の複合材を使った部品加工技術を取得し、航空機や次世代自動車、ドローン関連市場の分野で、この技術を活用した高機能樹脂の製品供給の拡大が図られた。

2015年、自動車関連部品の開発・製造を手掛ける株式会社ミクニは、航空機用標準規格部品の輸入販売を手掛ける旭エアーサプライ株式会社の全発行済株式を取得し、子会社化した。このM&Aにより、株式会社ミクニの航空機部品分野での商社機能をより一層強固なものとし、同事業において更なる収益性の向上が図られた。

2009年、アルミや銅など非鉄金属の専門商社であるアルコニックス株式会社は、アルミなどの金属精密加工メーカーの株式会社大川電機製作所の全株式を取得し子会社化した。株式会社大川電機製作所は1951年設立で、情報通信機器や液晶・半導体装置、宇宙航空機器など幅広い分野で部品製造を手がける。本M&Aにより、アルコニックス株式会社は製造業への本格進出を図った。






M&Aキャピタルパートナーズは、豊富な経験と実績を持つM&Aアドバイザーとして、お客様の期待する解決・利益の実現のために日々取り組んでおります。
着手金・月額報酬・企業評価レポート作成がすべて無料、秘密厳守にてご対応しております。
以下より、お気軽にお問い合わせください。


ご納得いただくまで費用はいただきません。
まずはお気軽にご相談ください。

監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


M&A関連記事

M&Aへの疑問

M&Aへの疑問のイメージ

M&Aに関する疑問に市場統計や弊社実績情報から、分かりやすくお答えします。

業種別M&A動向

業種別M&A動向のイメージ

日本国内におけるM&Aの件数は近年増加傾向にあります。その背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。

M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由

創業以来、報酬体系の算出に「株価レーマン方式」を採用しております。
また、譲渡企業・譲受企業のお客さまそれぞれから頂戴する報酬率(手数料率)は
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」となっております。