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製造業は日本経済の基幹を担う産業であり、その業種は多岐にわたります。本記事では、製造業界全体の特徴に加え、主要な製造業種の特徴をそれぞれ詳しく紹介します。各業種の現状や課題、市場動向についても触れていくので、ぜひ参考にしてください。
目次
製造業界の特徴
製造業は、新製品の製造加工と卸売を主とする事業所のことです。令和4年度の「ものづくり基盤技術の振興施策」によると、日本のGDPの約2割を製造業が占めています。製造業は国内の基幹産業です。業界全体の売上高は約400兆円で、自動車、化学、食品、情報通信機械などが高い割合を示しています。
現在の製造業界の課題は人材確保・育成です。過去約20年間で、若年就業者数が121万人減少する一方、高齢就業者数は33万人増加しました。人材不足を補うため、各分野でデジタル技術の活用が求められています。
製造関連業種一覧
製造業界には多様な業種が存在しています。本記事では、製造業界に属する以下の10の製造関連業種を紹介します。
- 段ボール製造業
- 紙パルプ製造業
- アパレル製造業
- 家具・オフィス用家具製造業
- 建機(重機)
- 造船
- プラント
- 航空機製造業
- 自転車製造業
- 事務用品製造業
- スポーツ用品業
- その他製造業
段ボール製造業の特徴
段ボール製造業の主な事業領域は、塗工紙、段ボール、壁紙・ふすま紙等の加工紙の製造です。重包装紙袋・角底紙袋・段ボール箱・紙器といったさまざまな紙製容器の製造も、この業界の重要な柱となっています。
段ボール業界の特徴は、企業規模によって事業構造が大きく異なることです。大手企業は、原紙の製造から加工、販売に至るまでの全工程を自社内で一貫して行う垂直統合型のビジネスモデルを採用しています。
一方、中小企業では、板紙や段ボールの製造、あるいは販売など特定の分野に特化し、専門性を活かした事業展開を行うのが一般的です。
2002年以降、日本国内における段ボール生産量は緩やかな増加傾向を示しています。加えて、中国や東南アジアの経済成長に伴いEC取引が盛んになり、食品・飲料・電子機器の消費が拡大しています。これらの要因により、海外市場においても段ボールの需要は堅調に伸びています。
紙パルプ製造業の特徴
紙・パルプ製造業は、古紙・パルプ(木材)を原料として、各種の紙や板紙製品を製造する事業者のことです。紙を原材料としてさまざまな加工品を生み出す事業所も、紙・パルプ業界に含まれることがあります。
ペーパーレス化やデジタル化の影響を受けて紙の需要は低下しており、業界全体は縮小傾向です。そうしたなか多くの企業が紙の製造以外の分野へと活路を見出し、多角化を図っています。
森林などの環境と密接に関わる産業であることから、森林事業や環境対策事業なども注目されています。
アパレル製造業の特徴
アパレル製造業は、主に次の三つの事業形態に分類されます。
- 衣類の完成品を販売する小売企業
- 素材の調達から衣類のデザイン、製造、流通までを担うメーカー
- 企画から製造、販売までを一貫して行う製造小売業(SPA)
他社に生産を委託し、自社ブランド名で商品を提供するOEM生産や、完成したサンプルを見て仕入れを決めるODM生産などのビジネスモデルが積極的に行われているのも、この業界の特徴です。
アパレルの国内市場は縮小傾向にあるなか、新たな販売チャネルとしてEC(電子商取引)が飛躍的に台頭しています。また、ファストファッションの浸透によるアパレル業界の二極化という大きな構造変化も、近年の傾向として押さえておきたいポイントです。
家具・オフィス用家具製造業の特徴
家具・オフィス用家具製造業は、家庭で使用する椅子や机、ソファー、職場で使用するデスクなどのオフィス用家具を製造する業種のことです。
家具・オフィス用家具製造業界では、高級家具と低価格家具の二極化が進んでいます。高級家具を取扱うメーカーでは売上の減少が目立つ一方で、低価格家具を取扱うメーカーは好調な業績を維持しています。
低価格家具メーカーが好調な業績を維持しているのは、生産から発送までを一貫して自社で行うビジネスモデルを採用することで、高い利益率を確保しているからです。また、「ホームファッション」「ホームファニシング」を主体とした販売戦略もキーポイントとなっています。
建機(重機)業の特徴
建機(重機)業界とは、工事現場などで使用されている機械の製造・販売・整備・レンタルなどに携わる業界です。
建機には明確な定義はありませんが、一般的には主に土木工事や建築工事、道路舗装などの現場で利用されている、ショベルカーやトラクターなどの機械を指します。また、製鉄所や造船所などで利用されるフォークリフトのほか、クレーン、除雪車なども建機に含まれます。
造船業の特徴
造船業とは、海運会社などの船主から依頼を受けて船舶の建造・修繕を行う事業です。取り扱う船舶の種類は、コンテナ船・タンカー・自動車運搬船など多岐にわたります。
販売する船舶はほとんどがオーダーメイドであること、船舶そのものの単価が高いことから、1つの案件で高い利益を得られます。
しかし、高単価である分建造には手間や時間がかかるほか、大型の船舶に対応できる広大なスペースも必要です。さらに、同時に建造できる船舶の数には限りがあるため、案件の質やタイミングも重要となります。
プラント業の特徴
プラント業とは、プラント(工場設備)の建設に関わる事業のことを指します。工場の種類としては、発電や石油精製、石油化学、製鉄、都市ごみ処理・清掃工場などが挙げられます。
プラント業界には、幅広い業種が関わっており、プラントの設計、機器や資材の調達、建設をする「エンジニアリング会社」、工場に機械を製造、納入する「機械メーカー」、機器の計測やコントロール機器を扱う「計装制御メーカー」、土木建設を行う「ゼネコン」、プロジェクトの組成や事業出資する「商社」、建設工事やメンテナンス工事を手がける「工事会社」など、非常に幅広い業種がプラント建設に携わっています。
航空機製造業の特徴
航空機製造業とは、飛行機をはじめ滑空機や気球、飛行船などの航空機の開発・設計や、生産技術などを行う事業者です。開発・設計部門は、最新の技術や革新的な素材を駆使し、航空機の性能向上、機能拡張、デザイン改良に取り組んでいます。
航空機製造業の特徴は、各部品の設計から航空機全体の開発まで業務が幅広いこと、そして、航空機が膨大な数の部品から構成されていることです。そのため関連産業の裾野が広く、国内の市場規模は、2030年までに3兆円を超えると推測されています。
グローバルな視点で見ると、民間航空機市場の成長率は年率およそ4.4%で、今後20年間で市場規模は約16兆ドルに達すると期待されています。これは現在の規模の約2倍であり、大きな発展が期待できる業界です。
自転車製造業の特徴
自転車製造業は、自転車本体とその構成部品の製造・販売を主軸とする業界です。
自転車の種類は、ロードバイクやマウンテンバイク、クロスバイク、シクロクロス、ピストバイク、ファットバイク、シティサイクル、ミニベロ、折りたたみ自転車、電動アシスト自転車などさまざまで、特定の自転車タイプに特化した専門メーカーも存在します。
各パーツを調達して組み立てる完成車は、差別化しにくいというデメリットがあります。対して、個々のパーツ製造は独自性を打ち出しやすく、製品の差別化が比較的容易です。このため、パーツ製造に特化し、独自の技術や設計を活かした事業展開を行う企業もあります。
事務用品製造業の特徴
事務用品製造業は、企業、官公庁、商業施設、一般家庭などで利用される文具類を生産・販売する産業です。文具類は具体的には、筆記具、画材、紙製事務用品、その他の事務用品などがあります。一部の企業は、製品の製造から販売まで一貫して手がけています。
日本の事務用品メーカーの強みは、優れた製造技術により、高性能な製品を比較的安価に提供できる点です。しかし、国内市場は既に飽和状態になっているため、営業部門による新規市場の開拓や海外展開といった戦略が求められます。
スポーツ用品製造業の特徴
スポーツ用品製造業が生産・販売するのは、競技用具だけではありません。トレーニング器具、アウトドアギア、自動車関連用品、バイク用品など、幅広い製品を手がけています。
2023年の市場規模は、スポーツ用品産業全体で1兆6,493億円に達する見込みです。近年の健康意識の高まりに伴い、スポーツを楽しむ人々が増加傾向にあります。この傾向が続く限り、スポーツ用品製造業は今後も発展を期待できるでしょう。
特に人気なのがランニングです。ランニング用のシューズやウェアなどの関連商品は安定した需要があり、今後も成長が見込まれます。
その他製造業の特徴
その他製造業とは、革製品や毛皮製品、宝飾品、アクセサリー、時計、眼鏡、楽器、玩具、日用雑貨などの製造事業所を指します。
代表的な企業は、日本たばこ産業(JT)、バンダイナムコホールディングス、ヤマハ、カシオ計算機などです。これらの企業は、独自の技術や製品ラインナップを活かし、多様な消費者ニーズに応えることで、市場をリードしています。
まとめ
製造業界は日本経済の重要な基盤であり、さまざまな業種が存在します。
いずれの業種も、デジタル化や環境配慮、人材不足、市場の成熟化といった課題を抱えていますが、新たな技術の開発や市場開拓を通じて、持続可能な成長を目指しています。
製造業は今後も、日本経済を支える中心的な産業であり続けるでしょう。
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