事務用品業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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  • #業種別M&A動向
  • #事務用品業界 M&A

業界の定義

事務用品業とは、企業や官公庁、店舗などにおいて、文具として分類されている「筆記用具」「描画材」「事務用紙製品」「事務用品」などを製造・販売する事業のことを指す。

「筆記用具」には鉛筆や万年筆、シャープペンシル、油性ボールペン、水性ボールペン、油性マーカー、水性マーカーなどがある。「描画材」にはクレヨン、絵の具、鉛筆の芯、塗料、除去剤などがある。「事務用紙製品」にはノート、封筒、手帳、アルバム、ルーズリーフ、レポート用紙などがあり、「事務用品」にはファイル、粘着テープ、印章類、ラベル類、事務用のり、黒板類、修正テープ、カッター、ステープラー、消しゴム、文具ハサミ、電子辞書、定規、付箋などがある。



業界の特色

事務用品業界イメージ画像

事務用品業は、大きく「企画」「製造」「営業」の3つに分けられる。「企画」では、顧客のニーズに沿った事務用品の形状や機能を検討する。「製造」は、「企画」が考えた製品を製造する。国内事務用品企業は、高い製造技術を持っており、高機能製品を低価格で販売することを実現している。国内市場が成熟しているため、「営業」による未開拓市場へのアプローチや、海外市場への進出などは、企業にとって非常に重要な役割となっている。

事務用品業界は、個人需要の存在が大きい。「文具女子」と呼ばれる文房具が好きな女性が存在するなど、減少している法人需要に対して、個人需要が市場を支えていることが一つの特色といえる。SNSの普及により、事業規模が小さい企業でも、優れたアイデアやトレンドにあったデザインにより、爆発的なヒット商品を生むことができる点は、事務用品業界の大きな特色である。今後も、個人需要の掘り起こしは、各企業で推進されていくことが予測される。





市場の規模

株式会社矢野経済研究所の「文具・事務用品市場に関する調査」によると、2018年の文具・事務用品市場の市場規模は、4,576億円であった。市場は2年連続で減少傾向にあり、分野別に見ると、筆記具・描画材が前年度比0.4%減の975億円、紙製品が同2.7%減の1,544億円、事務用品が同0.9%減の2,057億円であり、紙製品の減少が分野別では最も大きかった。2019年の文具・事務用品市場の市場規模を前年度比0.4%減の4,557億円と予測しており、市場の縮小傾向は継続されるとみている。



文具・事務用品市場に関する調査
出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2332





事務用品の市場規模は、筆記用具において、個人をターゲットにしたヒット商品を生み出すことに成功し、2012年度から2016年度にかけて、事務用品市場を下支えしていたが、筆記用具市場は成熟している市場でもあり、2017年以降の売上は徐々に減少している。

企業別に売上(他事業・海外含む)を比較すると、アスクル株式会社が4,003億円、コクヨ株式会社が3,151億円、株式会社オカムラが2,479億円、株式会社内田洋行が2,003億円、株式会社イトーキが1,222億円、株式会社パイロットコーポレーションが1,037億円などとなっている。



課題と展望

事務用品業界は、法人需要の減少や学童人口の減少、そして2020年に世界中で流行した新型コロナウィルス感染症の影響により、在宅勤務の推奨や学校で電子端末を使用するなどのデジタル化、ペーパーレス化が加速している。そのため、事務用品や事務用紙製品の需要が低下しており、今後は厳しい事業環境にあるといえる。この課題に対して、事務用品各社は、子どもの人口増加が見込まれているアジア諸国を中心とした海外需要の開拓や、個人需要に対して、高機能・高付加価値の製品やIT機器と融合した事務用品の開発により需要を活性化することが求められている。



事務用品業界のM&A動向

事務用品業界では、M&Aにより工場を統合することで、生産規模拡大による効率化や大量仕入れによる原材料費の引下げ、人材採用コスト、広告宣伝費、経費を削減することができる。また、事務用品以外の商品を取り扱い、事業を多角化するためのM&Aや、新たな販路の拡大のために海外の事務用品企業とM&Aを行い、海外進出の足掛かりにするケースもみられる。

2015年、アスクル株式会社は、自転車を利用した軽貨物運送事業を行う株式会社エコ配を子会社化した。アスクル株式会社は環境に配慮した配送機能を強化し、株式会社エコ配は荷物取扱個数の増大による事業成長を図った。

2014年、アスクル株式会社は、一般消費者向け通信販売事業「LOHACO」での酒類の取扱商品拡充を目的に、インターネットで酒類販売事業を営む昌利株式会社の全株式を取得し、子会社化した。アスクルは独自の販売網を最大限に生かすために本M&Aを行い、新たな顧客獲得を図った。

2011年、コクヨ株式会社の子会社であるコクヨS&T株式会社が、インドの大手文具・画材メーカーCamlin Limitedを子会社した。本M&AでCamlin Limitedのインドにおける全国流通網とブランド力を活用し、高い成長を遂げている同国の事務用品市場で事業を拡大することが図られた。また、共同で商品開発を行い、中国やベトナムなどでもCamlin Limitedの商品を展開する予定である。



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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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