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- #業種別M&A動向
- #社会施設業界 M&A
業界の定義
社会施設業とは公民館、図書館、博物館、水族館、動物園、植物園といった自然系博物館が社会施設として定義される。社会施設には、地方公共団体の設置する公立施設と、一般社団法人もしくは一般財団法人、宗教法人または政令で定める法人の設置する私立施設が存在する。
業界の特色

社会施設業界の特色として、多様な施設形態があげられる。主な社会施設は以下の通りである。
図書館:図書、記録その他必要な資料を収集・整理・保存して一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資する社会施設
公民館:実際生活に即する教育・学術・文化に関する各種の事業を行う社会施設
博物館:生物を含むモノの収蔵(育成)・研究・公開を系統だって継続し、後世に伝える業務を遂行する社会施設
美術館:美術作品を中心とした文化遺産や現代の文化的所産を収集・保存・展示し、またそれらの文化に関する教育・普及・研究を行なう社会施設
動物園:世界各地の生きた動物を飼育・研究し、一般に公開する施設で、主に陸で生息する動物を扱う社会施設
水族館:世界各地の生きた動物を飼育・研究し、一般に公開する施設で、主に水中もしくは水辺近くで生息する動物を扱う社会施設
植物園:植物を収集・保存・展示・調査・研究し、植物・園芸についての知識の普及や社会教育、環境保全や自然保護を推進する社会施設
市場の規模
文部科学省が発表した社会教育統計によると、2018年の社会施設業界の施設数や利用者数などの市場規模は、施設ごとに以下の通りとなっている。
・図書館
全国の図書館数(同種施設を含む)は3,360施設あり、2015年から29施設、2002年度からは618施設増加している。また図書館への年間の来場者数は2017年度では1億7,789万人であった。
・公民館
全国の公民館数(同種施設を含む)は14,281施設ある。また公民館の年間の来場者数は2017年度では1億6,651万人であった。
・博物館
博物館および博物館類似施設(博物館法の基準に満たない同業施設)は5,744施設で、徐々にではあるが増加傾向にある。博物館への入館者総数は、調査開始の1996年以降ほぼ横ばいの2億7,000万人前後で推移してしたが、2017年は初めて3億人を超えた。
・美術館
美術館は1,064施設で、2008年をピークに徐々にではあるが減少傾向にある。美術館への入館者総数はほぼ横ばいで5,500万人前後で推移している。
・動物園
動物園は93施設で、1999年からほぼ横ばいである。また動物園の入園者数は1991年の6,564万人をピークに、2018年には3,395万人と減少している。
・水族館
水族館は81施設で、1989年の68施設から13施設増加している。近年10年はほぼ横ばいの数である。また、水族館の入園者数は1989年の2,131万人から2008年に2,968万人、2018年には3,196万人と徐々に増加している。
・植物園
植物園は111施設で、1989年の71施設から40施設増加している。ピークで2008年の132施設であり若干の減少傾向にある。また植物園の入園者数は1989年の1,265万人から2008年に1,539万人、2018年には1,804万人と徐々に増加している。
課題と展望
社会施設の課題として、人口減少による利用者数の減少や施設の老朽化、従業員の高齢化などがあげられている。例えば、社会施設業界の中でも今後の需要が期待される水族館においては、経営課題に現在直面している。一般に水族館は約30年で大規模な改修が必要となるケースが多く、1990年前後に大型施設の開業が相次いだため、現在は改修期を迎えている。改修費用は数億から100億円の規模のため、費用の調達や周辺地域の再開発のためのM&Aが行われるケースが見られる。
社会施設業界のM&A動向
社会施設業界では、国や市町村が設置する施設であることが多いため、M&Aは頻繁には行われていない。また各社会施設ごとに一定の距離が保たれているケースが多いため、競合することも少ないといえる。そして展示物を主に扱うため、M&Aに伴い展示場所の確保が必要になることから、社会施設にとって得られるメリットが少ないといわれている。
2020年、山形県の公益財団法人酒田市美術館は、同じ地区周辺にある公益財団法人土門拳記念館と合併した。両社会施設への来館者が減少する中、この合併で組織体制を強化し、より質の高い展覧会の企画や教育普及プログラム充実を狙った。
2015年、近鉄グループホールディングス株式会社は、大阪の海遊館を運営する海遊館会社をM&Aした。海遊館の最寄り駅に近鉄グループの路線が乗り入れをしている。また、近鉄グループホールディングス株式会社は別の水族館や文化施設などの社会施設も運営しているため、海遊館を活性化および周辺施設とのシナジー効果を期待したM&Aであった。
2014年、株式会社図書館流通センターは、総合保育サービス事業を手がける株式会社明日香をM&Aした。このM&Aにより、図書館の附帯サービスである保育サービス事業とのシナジーが期待された。
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