医療・福祉業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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医療・福祉業界には病院や介護福祉施設関連だけでなく、さまざまな業界が含まれており、各業界において、対象となる施設や利用者が異なります。本記事では、医療・福祉業界の特徴について触れたうえで、関連業種についても詳しく解説します。

医療・福祉業界の特徴

医療・福祉業界は、病院・診療所、福祉・介護など、複数の業界によって構成されています。これらの業界の需要は、高齢化社会の進展によって増加傾向です。

一方で、少子化による働き手不足や、高齢化による労働者の引退などが相次ぎ、人材確保や後継者育成が課題になっています。2022年と同水準で労働者人工が推移した場合、2030年は2022年よりも約350万人、2040年には約900万人減るというシミュレーション結果が出ています。

医療・福祉関連業種一覧

医療・福祉関連業種を9種類紹介します。

  • 社会施設
  • 保育園・保育
  • 医療法人・病院
  • 老人ホーム
  • グループホーム
  • デイサービス
  • 福祉用具レンタル
  • 鍼灸マッサージ
  • 整骨院

順番に説明していきます。

社会施設の特徴

社会施設には、図書館、公民館、博物館、美術館、水族館など、教育や文化、レクリエーションを目的とした施設が含まれます。

社会施設業界の市場規模は施設によって異なり、図書館は年間来場者数約1億7,789万人、博物館は入館者数3億人を超えるなど、多くの利用実績があります。

一方、社会施設では以下のような課題を課題を抱えています。

  • 人口減少による利用者の低下
  • 施設の老朽化
  • 従業員の高齢化

特に水族館は施設の老朽化による改修時期に直面している施設が多いです。水族館の改修は数億円から100億円規模といわれているため、費用の調達のため、M&Aが実施される可能性があります。

社会施設のM&Aは、それほど頻繁に行われるものではありませんが、組織体制の強化や施設改修のための経営基盤強化のために実施されることがあります。

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保育園・保育の特徴

保育業界は保育所、幼稚園、認定こども園に大別されます。保育所には認可保育所と認可外保育所があり、違いは以下のとおりです。

  • 認可保育所:児童福祉法に基づき自治体が設置した保育所や民間業者が都道府県知事の認可を受け設置した保育園
  • 認可外保育所:自治体による認可を受けていない保育所

業種構造としては民間企業の参入が増加傾向にあるものの、認可保育所の運営は依然として社会福祉法人が中心です。

2021年度の保育・幼児教育市場は4兆6,833億円で、保育ニーズの高まりと施設数の拡大を背景に、堅調な成長を続けています。

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医療法人・病院の特徴

医療法人・病院は、患者さんに対しての医療サービスの提供、および関連するサービスを提供する業種です。

医療法に基づき、20人以上の受け入れが可能な入院施設を持つ医療機関を「病院」、受け入れ可能人数が19人以下の医療機関を「診療所(クリニック)」と呼びます。

病院と診療所の施設数は、令和3年時点で約18万施設です。令和2年と比較すると、約1,600施設増加しています。

医療業界ではM&Aが活発に行われており、以下の記事で詳しく紹介しています。

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老人ホームの特徴

老人ホームとは、自宅で自立した生活が困難な高齢者に対して、必要なサービスを提供する施設です。食事、入浴・排泄といった介護サービスや、洗濯・掃除などの家事代行、健康管理の中から1つ以上のサービスを提供します。

介護付、住宅型、健康型の3種類の有料老人ホームがあり、それぞれ以下のとおり特徴が異なります。

老人ホームの種類 特徴
介護付 24時間体制でスタッフが介護サービスの提供が可能
住宅型 生活支援サービスが受けられ、介護が必要な場合は外部サービスを利用する
健康型 介護不要な自立した高齢者が入居可能介護サービスが必要な場合は原則退去となる

さまざまな種類があり、自立した生活を送れる方も入所できる施設もあれば、要支援・要介護を前提とする施設もあります。

法規制も多く、新規開設には制限があるものの、高齢化社会の進展に伴い有料老人ホームの施設数は年々増加しています。2022年には17,327施設に達しました。

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グループホームの特徴

グループホームは認知症高齢者向けの介護施設です。少人数のユニット形式を採用し、専門スタッフの支援のもと共同生活を送りながら、認知症の改善と症状緩和に向けて取り組んでいます。

厚生労働省の調査によると、令和4年時点で施設数は約14,000施設です。施設数だけでなく利用者数も毎年増え続けています。

また、2022年度の介護保険総費用は11兆1912億円で5年連続上昇しており、今後も需要増加が見込まれます。一方で、人材不足が慢性化しており、特に夜勤スタッフやケアマネジャーの確保が課題です。

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デイサービスの特徴

デイサービスは、介護が必要な高齢者や障がい者に日帰り型の通所介護サービスを提供します。入浴、食事、リハビリなどの支援のほか、生活機能向上に向けたリハビリテーション、他の利用者との交流の場の提供を行います。

デイサービスの施設数は、令和4年10月時点で8,234施設です。令和3年と比べると74施設減少していますが、ほぼ横ばいであり、需要の高さは変わっていないといえます。

他の介護業種と同じく市場規模は拡大傾向にあり、デイサービスにおける介護費用は1兆2768億円です。

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福祉用具レンタルの特徴

福祉用具レンタルは、心身機能が低下した高齢者や障がい者向けに、日常生活支援用具を貸与する業種です。用具の選定、設置、調整などのサポートも行います。

福祉用具レンタル事業を行うには、人員配置や運営基準の要件をクリアする必要があるほか、貸し出しが可能な用具は、厚生労働省によって定められている対象種目に限られます。また、人員配置基準を満たすには、福祉用具専門相談員の常勤換算2人以上などが必要です。

近年は高齢人口増加および介護人材不足の影響により、企業数・商品数・受給者数が増加しています。需要増加に伴い、企業同士の競争も激しくなり、事業拡大・経営基盤の強化を目的としてM&Aが活発に行われています。

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鍼灸マッサージの特徴

鍼灸は東洋医学の治療法で、鍼灸院では、鍼師や灸師が施術サービスを提供します。また、あん摩マッサージではあん摩マッサージ師がツボやリンパに対して指圧で施術サービスを行います。

鍼灸マッサージ業には国家資格が必須で、資格が無いと施術が認められません。しかし、国家資格が無くても実施することができる近似の施術もあります。代表的なものとしては以下のとおりです。

  • カイロプラクティック
  • 整体
  • ボディーケア
  • リフレクソロジー など

現在マッサージ・エステ市場は多様化しており、鍼灸マッサージ業においては整形外科やリラクゼーションなどの業種との差別化が課題です。

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整骨院の特徴

整骨院は、柔道整復師の国家資格を有する施術師が脱臼や捻挫などの外傷に対して施術を行う施設です。一般的な医療機関とは異なり、施術費が保険適用となるのは外傷のみで、慢性痛や整体は自費診療となります。

整骨院業界の市場規模は、新型コロナウイルスの影響が強い2020年や2021年においても減少することなく一定の水準で推移しています。近年では、コロナ禍の影響でデスクワーク増加に伴う頭痛や眼精疲労、肩こり、などの症状の相談が増加傾向です。

顧客の悩みも多様化しており、ニーズに合わせた施術やサービス展開が求められています。

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まとめ

医療・福祉業界の特徴として、どの分野でも高い需要があり、一定もしくは右肩上がりの市場推移が期待できます。

医療・福祉業界のM&A案件情報や成約事例は以下のリンク先にて紹介しています。ぜひご覧ください。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社企業情報部 部長本山 拓哉
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 部長
本山 拓哉

大手証券会社にて、上場・未上場企業オーナーの資産運用及び事業承継・M&A支援に従事。
2016年から当社に参画し、現在ヘルスケア業界を中心に多数のM&A成約実績を有する。

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