マンション管理・ビルメンテ業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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  • #マンション管理・ビルメンテ業界 M&A

業界の定義

マンション管理会社とは、 オーナーやマンションの管理組合から委託を受けてマンションの管理・事務業を行う会社のことを指す。
代表的な業務として消防設備の点検、エレベーターの点検、給水ポンプの点検、清掃、帳簿、管理費の回収、総会や理事会の運営などが挙げられる。

またマンション管理会社の中には、ビルメンテナンス業を主力の事業としている会社もあり、オフィスビルや商業施設、研修所、病院、独身寮、学校など様々な建物を維持・管理している。

業界の特色

マンション管理会社はデベロッパー系、独立系、ビルメンテナンス系の3つのパターンに分けられる。

デベロッパー系のマンション管理会社は、大手の土地開発会社や不動産会社のグループ会社であり、基本的には親会社から仕事を受注することが多い。
独立系のマンション管理会社は、マンション管理を目的として設立され、自社の営業により仕事を受注している。ビルメンテナンス系のマンション管理会社は、ビルメンテナンスを目的として設立され、ビルメンテナンスにおける様々なサービスを分類し、それぞれ専門の業者に外部委託し高いサービスを実現している。 

また、マンション管理業界は、建設業界やIT業界と同様に多重下請け構造となっている。

まずは大手のマンション管理会社がビルのオーナーから仕事を受注し、細かい業務に切り分けたうえで中堅のマンション管理会社に仕事を発注する。中堅のマンション管理会社は、環境衛生管理業務や設備管理業務、建物設備保全業務、保安警備業務など、さらに細かく業務を切り分けたうえで下請けのマンション管理会社に仕事を発注するというのが、この業界の基本的な構造であり、特色である。


業界の市場規模

2018年に発表された、矢野経済研究所による分譲マンションを対象としたマンション管理会社市場に関する調査結果によると、2017年のマンション管理費市場は7,235億円と予想されていた。今後も新築分譲マンションが供給される限り市場は伸び続け、2025年には8,655億円に拡大すると予測されている。
人口や世帯数の減少に伴い、新築分譲マンションの需要が減少するため市場の伸びは鈍化していくが、直近においては伸び続けるとのことだ。


ビルメンテナンス市場規模推計

公益社団法人全国ビルメンテナンス協会によると、平成29年度のビルメンテナンス協会加盟企業における業界の市場規模は約3.59兆円となり、平成28年度の約3.52兆円からほぼ横ばいで推移しているという試算結果が出された。また同協会の調査では、ビルメンテナンス業務に従事している常勤従業員数は約38.7万人、パートタイマーが約57.2万人であることがわかった。これらの数値はビルメンテナンス業をどこまで含めて捉えるかという定義の違いにより、大きく変わってくるため注意が必要である。

マンション管理会社の市場は不動産市場の景気から大きく影響を受ける。
近年の不動産市場の好景気により、マンション管理会社の市場もしばらくは伸びると予測される。


課題と展望

マンション管理会社の課題として、第一に人手不足が挙げられる。公益社団法人全国ビルメンテナンス協会の調査によると、全国的に深刻な人手不足が叫ばれており、人手不足に伴って生じている課題も多く挙がっている。 具体的な課題内容は「従業員の労働負荷が増加している」や「人材採用に関するコストが増大している」、「人件費が増大している」である。また最低賃金増加やパートタイマーへの社会保険の適用拡大が、コスト増加をもたらし、経営を圧迫している点も考えなければいけない課題である。


従業員の不足

マンション管理会社やビルメンテナンス会社の事業は労働力に対する依存が高い労働集約型産業であるため、人手不足が直接経営に影響を与えることが多い。また業界の特色として、サービス面での差別化が図りにくく、価格競争が激化すると収益の低下にもつながり、マンション管理会社の課題は一度陥ったら抜けられない負のスパイラルのようにも見える。 現在のマンション管理会社の業界の市場の伸びは来年以降も維持されると予測されているが、それ故に様々な角度から人手不足という問題にアプローチし、市場の伸びにマンション管理会社も取り残されないよう対策していくことが、非常に重要になってくる。


マンション管理・ビルメンテナンス業界のM&A動向

マンション管理会社の事業は、いわゆる「ストックビジネス」である。管理戸数を増やすことが新たな収益につながる。業界全体として、少子高齢化や世帯構成の変化の影響で、より質の高い管理サービスが求められるようになってきた。M&Aにより管理戸数の拡大と既存事業の流出阻止、後継者不足の解消、また競合優位性を保つなどの効果が期待される。M&Aによるスピーディーな管理戸数の拡大は、より高いコストパフォーマンスの実現だけでなく、従業員の業務負担の軽減にもつながると考えられている。

―主な事例―

・2013年2月
「株式会社東急コミュニティー」が、「ユナイテッドコミュニティーズ株式会社」の株式を取得することでM&Aを実現した。
このM&Aにより東急コミュニティーは、合計45万戸となる管理ストックを獲得した。マンション総合管理戸数業界第一位のユナイテッドコミュニティーズの獲得により、ブランド力向上を目指したM&Aである。

・2013年6月
「日本管財株式会社」が、「株式会社エヌ・ジェイ・ケイ・ホールディングス」を株式を取得することでM&Aを実現した。 関西地区を基盤にマンション管理を主体とするNJKHDをはじめとするNJKグループと当社の住宅管理事業との経営統合を図ることにより、高品質なサービスの提供や管理戸数の増加によるマンション管理会社としてのブランドイメージの向上を図った。

・2015年11月、「伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社」が、「大阪ガスコミュニティライフ株式会社」の株式を取得することでM&Aを実現した。このM&Aにより西日本エリアの管理ストック規模の拡大、また周辺分野への事業拡大を図った。


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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社企業情報部 部長竹内 謙太
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 部長
竹内 謙太

会計系コンサルティング会社を経て、独立系M&AブティックでM&Aアドバイザリー業務に従事。
2018年当社参画以降は、不動産開発・売買・仲介・賃貸・管理、ホテル事業等、不動産に関連する企業のM&A成約実績を有する。

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