LPガス販売業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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業界の定義

LPガス会社とは、LPガス(Liquefied Petroleum Gas)と呼ばれる液化石油ガスを生産・販売する会社のことを指す。

LPガス会社の区分として主に、LPガスを生産したり、海外から日本に輸入したりする元売業者、元売業者から購入したLPガスを小売業者に販売する卸売業者、そして元売業者から購入したLPガスを一般家庭などに販売する小売業者が存在する。 LPガスと同様に家庭で使用されるガスとして都市ガスがあるが、これらの主な違いとして、ガスの原料や供給方法があげられる。

業界の特色

国内で使用されているLPガスの約75%が海外から輸入したもので、残りの約25%は、原油精製時や化学製品の生産時に発生する国内生産分である。2017年度における国別のLPガス輸入構成比は、アメリカが55.7%で最大の輸入元となっており、続いてカタールの13.7%、UAEの10.1%、クウェートの9.3%となっている。

LPガスの主な用途としてあげられるのが、家庭業務用、工業用、化学原料用、都市ガス用、自動車用、そして電力用である。家庭業務用はさらに家庭用と業務用に分けられ、家庭用はガスコンロや給湯器、カセットコンロなどで使用される。業務用はレストラン、飲食店、学校や病院などで使用される。工業用においては、金属・非鉄金属製品製造の熱処理工程、非鉄金属の溶解工程、また鉄鋼の鋼材加熱工程、熱処理工程、さらに食料品製造の殺菌工程、加熱工程、乾工程など様々な分野で使用されている。
化学原料用においては、主にプロピレンやエチレン等の化学製品の原料として使用されている。また自動車関連ではタクシーや配送車等の業務用車両にLPガスを燃料とするLPガス自動車が導入されており、2017年時点で80%以上のタクシーがLPガス自動車となっている。

市場規模

日本LPガス協会によると、2017年時点の国内におけるLPガスの消費量は、年間約1,420万トンで、国内最終消費エネルギーの約5%を占めている。
国内のLPガス用途別構成比率は、家庭業務用の43.47%(約638万4千トン)が最大となっており、続いて一般工業用の21.99%(約323万トン)、化学原料用の18.81%(約276万2千トン)、都市ガス用の7.56%(約111万トン)、自動車用の6.4%(約94万トン)となっている。

2020年のLPガスの需要見通しでは、家庭業務用が597万5千トン、一般工業用が320万トン、自動車用が77万8千トンでそれぞれ減少傾向にあるのに対して、都市ガス用が136万8千トン、化学原料用が300万1千トンと上昇傾向にある。
今後、LPガス業界全体としては需要が減少傾向にあることが予測されており、2017年の国内需要が合計1450万5千トンだったが、2020年には1440万9千トン、2023年には1419万7千トンにまで減少することが見込まれている。



2014年4月に日本政府は「エネルギーの需給に関する施策についての基本的な方針」において、LPガスの位置づけを「平時の国民生活、産業活動を支えるとともに、緊急時にも貢献できる分散型のクリーンなガス体のエネルギー源である」と定め、「災害時にはエネルギー供給の「最後の砦」となるため、備蓄の着実な実施や中核充填所の設備強化などの供給体制の強靭化を進める」と政策の方向性を示していることから、市場規模が縮小傾向にありつつも、必要なエネルギーとして需要がなくなることはないだろう。


課題と展望

LPガス業界の課題として、LPガス需要の減少、エネルギー間競争の激化、人手不足、LPガスの安定供給があげられる。これらの課題に対して、LPガス販売会社も様々な手段で対応している。LPガス自動車を促進したり、産ガス国との関係維持・強化を行うなど官民それぞれが課題に取り組んでいる。
将来的には、環太平洋域を中心とした新規天然ガスプロジェクトに伴うLPガスの増産体制も見込まれ、LPガスの更なる安定供給が確立されることが予測されているなど、明るいニュースも飛びこんできている中で、エネルギー市場の多くの変化への対応やLPガスの需要を促進することが課題を乗り越える鍵となる。

LPガス業界のM&A動向

LPガス業界では、深刻な後継者不足問題や、他社との競争激化による売上減少などが問題になっている。また、電力自由化に伴い、ガスと電気のセット販売営業がトレンドになっているため、電力業界からのM&Aや参入も相次いでいる。同業種間の競争のみならず、電力業界の会社とも競争が発生している。そのため、LPガス業界内でのM&Aももちろんあるが、電力会社などの他業界とのM&Aも目立ってきている。

―主な事例―

・2016年12月、関西電力株式会社と岩谷産業株式会社は共同で、「関電ガス」を専門に取り扱い、販売から保安まで、お客さまをトータルでサポートする、関電ガスサポート株式会社を設立した。具体的には、関電ガスサポートが岩谷産業の100%子会社であるイワタニ近畿株式会社と提携し、「関電ガス」の訪問販売や機器の修理、買替えを含めた保安業務を行う。これにより、さらなる販路拡大や、各地域のLPガス事業者との提携が図られた。


・2018年12月、東邦ガス株式会社は株式会社ヤマサの全株式を取得し、子会社化した。双方が同じ地域でLPガス事業を扱っており、このM&Aによって、企業のさらなる成長や、さらなる地域発展に貢献することが図られた。


・2018年3月、静岡ガス株式会社は島田瓦斯株式会社の株式を取得し、同社を連結子会社にした。島田瓦斯は、島田市を中心に都市ガス事業およびLPガス販売事業を展開しており、このM&Aにより、島田地域における、さらなる天然ガスの普及が図られた。


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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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