ホームセンター業界のM&A動向 昨今の事業買収・売却の事情やM&A事例を紹介

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ホームセンター業界のM&A動向について

ホームセンター業界は、生活全般を支える多品種販売業態として全国に展開していますが、人口減少やEC市場の台頭による構造的な変化に直面しています。こうした背景のもと、M&Aを活用した事業再編や成長戦略が注目されており、大手企業による積極的な統合が進んでいます。本記事では、ホームセンター業界の概要と市場動向を踏まえ、M&A活用の意義や成功要因を詳しく解説します。

本記事では、ホームセンター業界の特色や市場規模、M&Aの動向などについて詳しく解説します。ホームセンター業界のM&A事例やM&Aを実施するメリットなどもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。

ホームセンター業界の概要

ホームセンター業界は、国内小売業のなかでも大規模な市場を形成しており、住宅関連商品を中心に幅広い品ぞろえとサービスを提供しています。ここでは、ホームセンターの定義と業界の特色について見ていきましょう。

ホームセンター業界の定義

ホームセンターとは、住宅関連用品を幅広く取り揃えた大型小売店のことです。経済産業省は、ホームセンターを以下のように定義しています。

  • 取扱商品の70%以上が衣食住のうち「住」に関わる形態である「住関連スーパー」であること
  • そのうち、「金物」「荒物」「種・種苗」が0%を超え70%未満であること
  • 売り場面積が250㎡以上であること

ホームセンターは和製英語であり、英語ではDIY Storeと呼ばれるのが一般的です。DIY関連品、自動車用品、園芸用品、家電製品、組立式家具製品など、消費者の手作り志向や、ハウスキーピングを目的とした商品をメインに扱っています。
近年では、ペット用品やアウトドア関連商品の取扱いも増え、生活全般をサポートする総合的な小売業態へと進化している傾向が見られます。

ホームセンター業界の特色

ホームセンターは、幅広い商品展開と地域密着型の運営が特色です。DIY用品や園芸資材、日用品など、生活に必要な商材を一か所で揃えられる利便性が大きな強みです。
また、季節ごとの需要に応じた売場づくりや、リフォーム相談・工具レンタルといったサービス提供により、生活者からプロユーザーまで幅広い層に対応しています。郊外型の大型店舗を中心に、地域ごとのニーズに合わせた経営を行う点も特徴的です。
近年では、ECとの連携やオムニチャネル化にも注力し、顧客接点の拡大を図っています。

ホームセンター業界のM&A動向・市場規模

ホームセンター 商品販売額・店舗数 推移
参考:ホームセンター商品別販売額等及び前年(度、同期、同月)比

ホームセンター業界の市場は、コロナ禍を契機に大きく変化しました。2020年には在宅時間の増加を背景にDIYや家庭用品の需要が急伸し、総販売額は大幅に拡大しています。その後、一時的な落ち着きを見せましたが、2024年は再び上昇傾向を見せています。
分野別では、DIY用具・素材がコロナ特需後も高水準を維持しているほか、ペット用品分野では著しい成長が見られます。2024年には過去最高の300,881百万円を記録するなど、ホームセンターの新たな成長分野として注目を集めています。
店舗数も毎年増加を続け、2024年には過去最多の4,531店に達しました。これにより、商圏拡大と同時に競争環境の激化が進んでいるのがわかります。

ホームセンター業界でM&Aを活用するメリット

ホームセンター業界でM&Aを活用する主なメリットは、以下のとおりです。

一つずつ見ていきましょう。

専門性・地域密着性を活かした事業再編が可能

地域に根ざした企業を買収することで、特定エリアの商圏やローカルな消費ニーズに即したサービス力・販売力を強化できます。
例えば、DIYや園芸分野など、専門性が強い企業を統合すれば、自社だけでは獲得が難しい技術・知見や専門スタッフを迎え入れられるでしょう。また、地域ごとの特性、気候、顧客層の違いを意識した商品や売場運営ノウハウを吸収することで、全国展開や市場における強みを生み出せます。
特に、地方の老舗ホームセンターが持つ長年培われた顧客との信頼関係や、地域に根差した商品知識は、金銭では評価しきれない無形資産として事業価値を高める要素となります。

物流の効率化やオペレーションの最適化につながる

広域な店舗網を持つ企業同士がM&Aを行えば、物流拠点・配送ネットワークを統合することが可能です。これにより、在庫回転率やコスト削減など、業界特有の資産効率化が可能です。
また、仕入れルートや流通体制の集約は、売上アップと利益率の改善をもたらし、実際に物流企業を買収する事例も多く見られます。共同仕入れによるスケールメリットの享受や、プライベートブランド商品の開発力強化といった効果も得られるでしょう。
さらに、システム統合による在庫管理の精度向上や、配送ルートの最適化により、業務効率の大幅な改善も見込めます。

事業領域の拡大・サービス強化による競争力向上が期待できる

リフォームや家電、ペット用品など、周辺事業への拡大・多角化がしやすいのは、ホームセンターならではのメリットです。店舗網と商品ラインナップの拡大は、新たな顧客層の獲得とブランド競争力の向上につながり、消費者体験の幅が広がります。
ECやデジタル施策の導入が遅れがちな地方チェーンを買収することで、業界全体のオムニチャネル推進やDX促進に活用できる点も見逃せません。特に、成長分野であるペット関連事業やアウトドア用品への参入、プロ向けサービスの強化などは、新たな収益源の確保につながる可能性があります。

ホームセンター業界のM&A事例

ホームセンター業界では、大手企業による積極的な買収から地域企業間の統合まで、多様なM&A事例が見られます。
ここでは、近年の代表的なM&A事例について、詳しく見ていきましょう。

株式会社ジョイフル本田と株式会社本田

2025年8月、株式会社ジョイフル本田(以下、ジョイフル本田)は、茨城県を地盤とする株式会社本田を子会社化しました。
ジョイフル本田は、「国内No.1の"Living Space Innovator"となる」というビジョンの実現のため、生活提案力や地域密着型サービスの強化を図っています。一方、株式会社本田は、木材販売・リフォーム事業を手がけており、地域の住まいと暮らしに特化した事業基盤をもっている会社です。
両社の連携により、茨城県エリアでの「住まいと暮らしの総合センター」機能の拡充や付加価値サービスの強化が見込まれています。地域密着型ノウハウや専門性とのシナジーによって、顧客に新たな感動や発見を提供し、競争優位性を高める好事例といえるでしょう。

コーナン商事グループ(建デポ)とボーダレス株式会社

2025年6月、コーナン商事グループは、工具買取専門店「Reツール」を運営するボーダレス株式会社(以下、ボーダレス)を子会社化しました。ボーダレスは自社で購入した中古・新古品工具をEC販売する工具リユース業界で上位となっている会社です。
両社はこれまでもコーナンPROの店舗内で協業を続けてきました。このM&Aは、建デポ側がボーダレスのノウハウ・強みを取り込み、自社事業領域の拡大を図ることが目的です。
工具の買取・リユース販売と会員制建築資材卸売という2つの事業が融合したことで、両社サービスの付加価値アップ・事業領域の拡大が期待されています。顧客接点拡大や、工具リユース業界でのさらなる競争力強化が見込まれるでしょう。

DCMホールディングス株式会社と、株式会社ケーヨー

DCMホールディングス株式会社(以下、DCMホールディングス)は、ケーヨーとの間で資本業務提携を実施し、株式会社ケーヨーが実施する第三者割当増資を引き受けることを決定しました。DCMホールディングスは、出店地域の補完を図るほか、経営規模の拡大による仕入・販売促進・物流体制における業務の効率化を行います。
プライベートブランド開発のノウハウを相互に活用し、顧客のニーズを取り入れた商品開発を進めるなど、シナジーを創出し、両社の企業価値向上を目指します。

コーナン商事株式会社と株式会社ビーバートザン

コーナン商事株式会社(以下、コーナン商事)は、小田急電鉄より神奈川県を中心にホームセンター店舗を展開している株式会社ビーバートザン(神奈川県厚木市)の発行済全株式を取得し、100%子会社化することを決定しました。本M&Aにより、コーナン商事は、神奈川県におけるより一層の営業基盤の強化、店舗網の拡充を進める計画です。

綿半ホールディングス株式会社と株式会社アベルネット

綿半ホールディングス株式会社(以下、綿半HD)は、株式会社アベルネット(東京都台東区)(以下、アベルネット)の全株式を取得価額2,000百万円で取得し、連結子会社化しました。
綿半HDグループは、スーパーセンター事業において、インターネットを活用した通販事業も展開しており、さらなる顧客獲得のため、取扱商品の拡大に注力しています。アベルネットは、通販サイト「PCボンバー」を運営し、家電・パソコン以外にも取扱商材を広げています。
本M&Aにより、取扱商品の拡充をはじめ、通信販売の強化などのシナジーを創出し、グループ全体で価値向上していく狙いです。

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ホームセンター業界におけるM&A成功のポイント・注意点

ホームセンターのM&Aを成功に導くためには、業界特有の課題を理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。ここでは、買い手側が特に注意すべき以下の3つのポイントについて解説します。

それぞれ見ていきましょう。

在庫・資産の管理状況を確認する

ホームセンターは、取扱商品が多岐にわたり、大量の在庫や長期在庫を抱えやすい傾向にあります。そのため、デューデリジェンスで在庫評価やカテゴリ別の回転率、倉庫資産の状態を徹底的に確認することが必須です。
過剰な在庫や陳腐化した商品が残っていれば将来の収益性を圧迫するリスクがあるため、事前に洗い出し、買収価格に反映させることが欠かせません。特に、季節商品の在庫管理状況や売れ残りリスクの評価は重要なポイントです。また、店舗設備の老朽化状況や、必要な改装投資の見積もりも含めて総合的に評価することが求められます。

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人材の定着と組織文化の融合を意識する

ホームセンターは地域密着性が強く、販売員や専門スタッフの経験と顧客対応力が事業の競争力を支えています。PMIにおいては、従業員の心情に配慮した丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。その他、給与制度やキャリアパスを整備し、従業員の不安を解消することも不可欠です。
優秀な人材が離職すれば、顧客基盤の維持にも影響を及ぼします。そのため、役割の明確化やノウハウ継承を計画的に実施し、買収効果を安定して発揮できる体制を整えることが求められます。
特に、DIYアドバイザーやペットケアスタッフなど、専門知識を持つ人材の維持は、サービス品質に直結する重要な要素です。統合後も現場の声を尊重し、段階的な変革を進めることが、スムーズな組織融合の鍵となるでしょう。

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シナジー創出が見込める相手を選定する

ホームセンターのM&Aでは、自社の弱みを補完し、強みをさらに伸ばせる相手を見極めることが重要です。例えば、都市型、郊外型、ECといった異なるチャネルを持つ企業との統合は、商圏拡大や新たな顧客層の獲得につながるでしょう。
加えて、プライベートブランド商品の共同開発や、リフォーム・ペット用品といった周辺事業との相乗効果が期待できる相手を選ぶことで、競争優位性の向上が見込めます。地域補完性や事業補完性を慎重に評価し、統合後のビジョンを明確にすることが、M&A成功のポイントです。

ホームセンター業界における今後のM&Aの課題と展望

ホームセンター業界は、店舗数が増加し続ける一方、オーバーストア化や人口減少による需要縮小といった構造的な課題を抱えています。今後のM&Aでは、単なる規模拡大にとどまらず、既存店舗や物流資産の効率化、在庫管理の適正化が重要となるでしょう。
また、自社の弱みを補完し、強みを高める相手を見極めることが不可欠です。例えば、ペット用品や園芸といった成長分野、ECなどの新たなチャネルを持つ企業との統合が挙げられます。
将来的には、リフォームやアウトドアなど、周辺事業との複合化や、多業種との連携による新たな価値創出が進む可能性もあります。競争が激化する市場で持続的な成長を実現する手段として、M&Aは今後もさらに活用されていく見込みです。特に、DX推進やサステナビリティへの対応など、新たな経営課題への対応力を持つ企業との統合が、競争力を左右する重要な要素となるでしょう。

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よくある質問

  • ホームセンター業界とはどのような業態ですか?
  • DIY用品や生活関連商品を幅広く取り扱う大型小売店で、地域密着型のサービスを提供する流通業態です。
  • なぜホームセンター業界でM&Aが進んでいるのですか?
  • 市場の飽和や人口減少、EC拡大などの外部環境変化に対応し、効率化や事業領域の拡大を図るためです。
  • ホームセンターM&Aのメリットは?
  • 地域密着型の商圏獲得、物流効率化、事業多角化、専門人材の確保などが挙げられます。
  • M&Aの成功には何が必要ですか?
  • 在庫資産の精査、人材定着と文化融合、シナジー創出の見極めが重要です。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

2007年、立教大学経済学部経営学科卒業後、国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。
2021年M&Aキャピタルパートナーズ入社後は、広報責任者として、TV番組・CMなどのメディア戦略をはじめ広報業務全体を管掌、2024年より現職。

一般社団法人金融財政事情研究会認定M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者



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