音楽業界 市場規模や買収・売却事例について解説

音楽業界市場規模や買収・売却事例について解説のメインビジュアルイメージ

更新日

  • #業種別M&A動向
  • #音楽業界 M&A

業界の定義

音楽業界は、大きく「音楽プロダクション」「レコード会社」「音楽出版社」の3つに分類される。

「音楽プロダクション」とは、アーティストや楽曲を制作する作詞家・作曲家などが所属をする事業者を指し、アーティスト育成や交渉代行、プロモーション、スケジュール管理、コンサート企画等を行っている。「レコード会社」とは、音楽コンテンツの製作・宣伝、製造、販売の役割を担っており、近年ではCDの他に、インターネットによるダウンロード配信も行っている。「音楽出版社」とは、音楽著作権の管理・使用料徴収等を行う事業者のことを指し、主にレコード会社系のほか、芸能プロダクション系、放送局系が存在する。




業界の特色

音楽業界のイメージ画像

音楽業界では、マスター音源を制作した者が保有する原盤権を軸にビジネスが進められる。アーティスト自身や音楽プロダクション、レコード会社や音楽出版社が共同で原盤制作者となり、原盤権を保有する事が多い。レコード売上の配分は上代から小売、流通がそれぞれ取り分を確保した上で、原盤制作者に原盤印税、アーティストに歌唱印税、著作権管理事業者に著作権使用料が支払われ、残りがレコード会社の取り分となる仕組みである。

近年の音楽業界は「360度ビジネス」を取り入れる企業が増えてきている。「360度ビジネス」とは、ライブエンターテインメント事業や映像・動画配信事業、マネジメント事業、グッズ販売事業など、アーティストに関わる全ての事業活動から収益を上げていくビジネスモデルのことを指す。メディアの多様化により、音楽制作(CDやDVDなどの販売)といわれるパッケージ事業の行き詰まってしまっている中で、「360度ビジネス」は事業の多角化が必要な音楽業界の新たな活路として期待されている。





市場の規模

一般社団法人日本レコード協会によると、レコードやCD、DVDなどの売上を合わせた国内の音楽業界市場は、1998年の約6,075億円をピークに年々縮小を続け、2018年の音楽ソフト(オーディオレコード+音楽ビデオ)総生産金額は2,403億円となった。




音楽ソフト総生産金額
出典:https://www.riaj.or.jp/f/pdf/issue/industry/RIAJ2019.pdf









また、音楽パッケージの売上減少をカバーすると期待されていた有料音楽配信市場も、約910億円で過去最高の売上を記録した2009年以降急速に減少した。その後、徐々に増加しており2018年は約645億円で5年連続のプラス成長となっている。





音楽配信金額の推移
出典:https://www.riaj.or.jp/f/pdf/issue/industry/RIAJ2019.pdf








さらに近年、「ダウンロード型音楽配信」に代わり、有料音楽配信の主軸となりつつある「ストリーミング型音楽配信」は、2019年に約465億円の売上を記録するなど、国内でも急速に拡大しているが、レコード等の収益減を補うほどまでには至ってない。再生履歴などから利用者好みを判断して楽曲の自動配信を行うレコメンド型サービスの提供により、音楽ソフト市場の落ち込みをカバーしている。

上記以外の音楽業界の収益として、ライブやコンサートなどのライブエンターテインメント市場がある。一般社団法人コンサートプロモーターズ協会によると、レコード、CD、DVDの売上がピークを記録した1998年に約711億円だった国内のライブ市場は、2018年には約5,862億円まで拡大し、右肩上がりの成長を続けている。




課題と展望

音楽業界が抱えている大きな課題の一つに、メディアの多様化があげられる。YouTubeを始めとした、無料で利用可能な動画共有サービスの普及は、音楽業界の市場規模の縮小の原因としてあげられている。オンラインで誰もが手軽に動画を公開、視聴できるようになり、消費者の多くは、レコードやCDに消費するモチベーションがなくなってしまった。

また、一部のアーティストに依存した収益構造になってしまっている点も課題の一つである。現在ではCDに特典や体験を付与することで、明確な「課金の動機」を消費者に持たせるアイドルビジネスが主流となり、音楽性を主体としたバンドやシンガーソングライターでは、ビジネスとして売りにくいという現状がある。




音楽業界のM&A動向

音楽業界では経営基盤の強化、異業種連携などサービスの多角化を進めることを目的としてM&Aが実施されている。

2019年、大手芸能プロダクションの株式会社アミューズは、コンサートや舞台の映像を映画館などに配信する株式会社ライブ・ビューイング・ジャパンの株式を取得し、子会社化した。デジタルコンテンツの普及によるVR(バーチャルリアリティー)ライブの開催など、ライブエンターテイメント市場の多様化に対応し、ビジネスチャンスを取り込むことを目的としてM&Aであった。

2019年、エイベックス株式会社は、「ライバー」と呼ばれるライブ配信を行う個人クリエーターが所属する株式会社LIVESTARを子会社化した。マスメディアを介さず直接的にファンを獲得する「個人のメディア化」の動きが広がっており、クリエーターの発掘・育成を通じてヒット創出を目指すM&Aであった。

2010年、株式会社ローソンは音楽・映像ソフト販売大手のHMVジャパン株式会社をM&Aした。株式会社ローソンはHMVジャパン株式会社を傘下におさめ、音楽ソフトやコンサートチケットなどのネット通販の拡大につなげることを目的とした。HMVジャパン株式会社は、年間売上高約300億円の半分をネット通販で稼ぎ、当時音楽ソフトのネット通販では国内2位であった。株式会社ローソンはチケット販売子会社の株式会社ローソンエンターメディアと音楽ソフトや関連商品のネット販売などで相乗効果を見込んでM&Aが実施された。





M&Aキャピタルパートナーズは、豊富な経験と実績を持つM&Aアドバイザーとして、お客様の期待する解決・利益の実現のために日々取り組んでおります。
着手金・月額報酬・企業評価レポート作成がすべて無料、秘密厳守にてご対応しております。
以下より、お気軽にお問い合わせください。


ご納得いただくまで費用はいただきません。
まずはお気軽にご相談ください。

監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


M&A関連記事

M&Aへの疑問

M&Aへの疑問のイメージ

M&Aに関する疑問に市場統計や弊社実績情報から、分かりやすくお答えします。

業種別M&A動向

業種別M&A動向のイメージ

日本国内におけるM&Aの件数は近年増加傾向にあります。その背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。

M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由

創業以来、報酬体系の算出に「株価レーマン方式」を採用しております。
また、譲渡企業・譲受企業のお客さまそれぞれから頂戴する報酬率(手数料率)は
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」となっております。