電気機器(電気機器メーカー)業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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業界の定義

日本標準産業分類(中分類)によると、電気機械器具製造業とは、電気エネルギーを発生させる機器や貯蔵する機器、送電する機器、変電する機器、そして動力源として利用する機器などを製造する事業者を指す。電気機械器具製造業は、発電機や変圧器などの大型電気機器に分類される工業用電気機器(重電機器)と、冷蔵庫や洗濯機などの家電(軽電機器)に分けられる。ここでは、工業用電気機器を電気機器と指すこととする。

工業用電気機器は、ボイラやタービンなどの「発電用原動機」、発電機や電動機、モーターなどの「回転電気機械」、変圧器や電力変換装置などの「静止電気機械」、配電盤や開閉機器などの「開閉機器」の4つに分類される。



業界の特色

電気機器業界イメージ画像

電気機器業界は、受注生産型の事業者が多い業界である。受注した大手電気機器メーカーの設計書をもとに、部品メーカーが素材メーカーから素材を調達し、部品を製造する。その部品を大手電気機器メーカーに納品し、電気機器メーカー製造する。製造した電気機器は、メーカーが販売するか、特約店や代理店、卸売業者などが販売するのが、電気機器業界の一般的な生産フローになっている。

現代の製造業は、複数の事業者、国、地域を通した複雑なサプライチェーンで構成されている。そのため、生産状況の管理がより難しくなっているが、「スマートマニュファクチャリング」を実現することが、的確な経営判断の要因になると考えられている。「スマートマニュファクチャリング」とは、IoTやAI、ビッグデータといったデジタル技術を活用し、工場の生産性の向上や新しいビジネスの創造を目指す取り組みである。国内需要が一定の需要で維持されているため、電気機器業界は、海外へ事業展開することが事業拡大の鍵を握っており、スマートマニュファクチャリングを実現することで、刻々と変化する海外市場の変化に対応できる可能性が高まるといわれている。



市場の規模

一般社団法人日本電機工業会(JEMA)によると、2019年度の重電機器受注生産品の受注金額は、内需が1兆3,329億円、外需が4,393億円の計1兆7,723億円で前年比6.4%増であった。


重電機器受注生産品の受注実績(内需+外需)グラフ
出典:https://www.jema-net.or.jp/Japanese/data/2020/20.03/20_01-03jd-comment.pdf




内需の内訳は、製造業が2,847億円で前年比0.4%減ではあったが、前年並みの受注金額を維持した。繊維・化学・窯業・土石や鉄鋼業は前年より受注金額が増加したが、はん用・生産用・業務用機械や自動車などは前年の実績を下回った。


内需の内訳(製造業)
出典:https://www.jema-net.or.jp/Japanese/data/2020/20.03/20_01-03jd-comment.pdf





一方で、非製造業は、7,854億円で前年比8.5%増であった。大口需要先である電力業は受注金額が前年の4,646億円から3,911億円と、1年で735億円減少したが、その他非製造業の受注金額は前年から1,352億円増加し、3,943億円を記録したため、非製造業全体では前年比8.5%増と大きく実績を残せた結果になった。



内需の内訳(非製造業)
出典:https://www.jema-net.or.jp/Japanese/data/2020/20.03/20_01-03jd-comment.pdf





電気機器業界の市場規模は、高度経済成長期には重工業化に伴う需要拡大により、急成長を遂げた。2000年代に入っても中国やアジアなど、新興国のインフラ整備に伴う需要増により、拡大を続けていたが、2008年の金融危機により海外需要が減少し、電気機器業界も大きく影響を受けてしまった。その後、経済も復調し、現在は回復傾向にある。「温室効果ガス削減目標」などに基づいた、電気機器のリプレースや再生可能エネルギーの導入拡大により、国内では今後も一定の需要がある予測されているため、旺盛なエネルギー需要がある海外への事業展開が各電気機器事業者の大きな成長の鍵を握っている。



課題と展望

電気機器業界の課題として、ハードウェア重視からの脱却があげられる。日本の電気機器製造技術は世界に誇ることができる技術力であるが、近年は、ハードウェアを製造するだけでなく、いかに効率化された運用をできるかが、事業拡大の要因になっている。IoTやAI、ビッグデータの活用が発達してきている。これらを利用し、工場を効率的に運用することが、スマートマニュファクチャリングや、スマートファクトリーの実現につながり、新製品の開発や既存製品の改良、コスト削減などを達成できるといわれている。

また、経営と工場の乖離も課題になっている。製造業界では、度々データ改ざんなどの不正行為が発覚し、大きなニュースになってきた。競合他社に勝つために理想を追求する経営陣と、その時の状況を把握している工場などの現場で密な連携をとれる環境を作ることが、これらの不正や不祥事を防止する大きな要因になる。



電気機器業界のM&A動向

電気機器業界では、新規事業のためのM&Aや、海外への事業展開のためのM&Aが活発に行われている。

2019年3月、株式会社マキタは、産業用エアコンプレッサを製造する尼寺空圧工業株式会社の全株式を取得し、子会社化した。このM&Aにより、事業基盤のさらなる強化が図られた。

2019年1月、倉敷紡績株式会社(クラボウ)は、プラスチックフィルムやシートなどの厚み計測装置専門メーカーである株式会社山文電気の全株式を取得し、M&Aを成立させた。プラスチックフィルムや多層のコーティング素材などの塗布厚みを非接触で高精度にオンライン計測できる赤外線方式の膜厚計測装置の開発・販売しているクラボウに対して、異なる手法であるX線方式、レーザー方式などの厚み計測装置の開発・販売を行っている株式会社山文電気をM&Aすることで、両社の強みを活かした事業展開や業容拡大が図られた。

2018年4月、八洲電機株式会社は、、受変電設備・上下水道設備等の各種プラント設備の建設を主たる事業としている株式会社三陽プラント建設の一部株式を取得し、子会社化した。電気機器の販売及びシステムの設計・施工などを行っている八洲電機株式会社が、株式会社三陽プラント建設を子会社化することにより、社会インフラ事業を中心としたソリューション・エンジニアリング力の強化や様々なシナジー効果が期待された。



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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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