リネンサプライ業界のM&A動向 昨今の事業買収・売却の事情やM&A事例を紹介

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訪日観光客の増加を背景に拡大を続けるリネンサプライ業界ですが、慢性的な人手不足や設備老朽化、物流効率の低下といった深刻な課題が、各社に重くのしかかっています。こうした状況において、M&Aは企業の生き残りや成長の切り札として位置づけられるようになりました。

本記事では、リネンサプライ業界のM&A動向や、M&Aを活用するメリット、代表的な事例、成功に向けたポイントなどについて解説します。

リネンサプライ業界の概要

はじめに、リネンサプライ業界の定義と特色について、それぞれ見ていきましょう。

リネンサプライ業界の定義

リネンサプライ業は、自社管理のリネン製品を顧客の要望に合わせて貸し出すサービス業です。使用済みのリネン製品は回収し、洗濯や仕上げ、補修などを行ったうえで、再び貸し出します。

また、同じく洗濯などを行うサービス業としてはクリーニング業があります。クリーニング業が顧客から預かった衣類などを扱うのに対して、リネンサプライ業は自社が保有するリネン製品を貸し出す点が大きな違いです。

リネンサプライ業界の特色

リネンとは、本来は亜麻(フラックス)を原料とする天然繊維を指しますが、現在では麻素材に限らず化学繊維なども含めたさまざまな素材の繊維製品をまとめて「リネン」と呼ぶのが一般的です。リネンサプライ業界では、このようなリネン製品をクリーニングし、管理しながら繰り返し供給するサービスが提供されています。例えば、飲食店で使われるテーブルクロスは「テーブルリネン」、宿泊施設の寝具は「ベッドリネン」といったように、用途ごとの名称も業界内でしっかりと定着しています。

リネンサプライ業界のM&A動向・市場規模

リネンサプライ市場規模推移・予測
参考:リネンサプライ市場に関する調査を実施(2024年)

株式会社矢野経済研究所の調査によると、2023年度の国内リネンサプライ市場規模は前年度比108.5%増の4,551億円となり、プラスの推移を見せました。2024年度には前年度比104.6%の4,760億円に達すると予測されており、拡大傾向が続く見込みです。なかでも顕著なのが、ホテルリネン需要の拡大です。この背景には、コロナ禍による行動制限の解除や、訪日外国人観光客の増加による、ホテル施設数の増加があります。

2025年度は102.9%増の4,900億円が見込まれていますが、以降は伸び率が鈍化し微増または横ばいとなる可能性も指摘されています。インバウンド需要の高まりが一巡すれば、ホテル業界、ホテルリネン業、さらにはリネンサプライ業全体の成長が落ち着くかもしれません。

リネンサプライでM&Aを活用するメリット

リネンサプライ業界でM&Aを活用する主なメリットは次のとおりです。

スケールメリットによりコストを最適化できる

M&Aによって企業規模を拡大することで、大量仕入れによる調達コストの削減や拠点間の統廃合による業務の効率化が期待できます。業務用リネンの原材料やエネルギーコストが高騰するなか、こうした取り組みは事業継続の観点から大きなメリットです。特にリネンサプライ業は、洗濯設備や配送車両などの固定資産を多く抱える業種のため、スケールメリットが業務効率に直結しやすいという特徴があります。地域拠点の統合によって稼働率の均一化や配送の効率向上が実現できるでしょう。

顧客基盤・サービス領域を拡張できる

M&Aによって地方や特定業界に強みを持つ企業を取り込めば、新たな市場への進出や事業領域の拡大が可能です。例えば、介護施設や病院向けの衛生管理に特化したサービス、ユニフォーム管理、マットやモップなどの関連サービスを加えることで、幅広いニーズにワンストップで応える体制が構築可能です。また、異なる業態の顧客基盤を融合することで、収益源の多様化と安定性の向上にもつながります。

環境対応力を強化できる

リネンサプライ業は、洗濯工程や配送業務において水資源やエネルギーの消費が多く、環境への負荷低減が課題となっています。M&Aを活用し、省エネ設備や水循環システムを持つ企業と連携すれば、より持続可能なオペレーションへの転換を図れます。また、異業種と協業すれば、環境配慮型の物流設計や、再利用率の向上などの取り組みも強化できるでしょう。

リネンサプライのM&A事例

リネンサプライ業界では、事業規模の拡大やグループのシナジー効果を目指して多様なM&Aが進められています。本項では、主要企業による最新の事例や、その背景、効果などについてご紹介します。

株式会社トーカイと株式会社松屋リネンサプライ

株式会社トーカイは、株式会社松屋リネンサプライの福祉用具貸与・販売事業と住宅改修事業を会社分割によりM&Aを実現しました。株式会社松屋リネンサプライは、愛知県豊橋市および豊川市を中心に同様の事業を展開してきた企業です。このM&Aにより株式会社トーカイの中部地方における事業規模の拡大が図られました。

株式会社トーカイと有限会社ドリームライフ

株式会社トーカイは、有限会社ドリームライフの福祉用具貸与事業、福祉用具販売事業、住宅改修事業を会社分割によりM&Aすることを実現しました。有限会社ドリームライフは愛媛県北宇和郡を中心にシルバー事業を展開しており、今回のM&Aによって、株式会社トーカイの四国地方における事業規模の拡大が図られています。

株式会社白洋舍と北海道リネンサプライ株式会社

株式会社白洋舍は、北海道リネンサプライ株式会社の株式を、北海道旅客鉄道株式会社の子会社である北海道クリーンシステム株式会社より追加取得し、子会社化しました。北海道リネンサプライ株式会社は、ホテル向けリネンサプライ事業の他に、北海道新幹線をはじめとする旅客車に係る鉄道リネンサプライ事業、法人向けクリーニング事業をしています。このM&Aにより、北海道地区における事業エリア拡大と共に、グループのブランディングの向上が図られました。

西日本旅客鉄道株式会社と株式会社ジェイアール西日本リネン

2024年5月、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は、保有する株式会社ジェイアール西日本リネン(以下、西日本リネン社)の全株式(議決権所有割合100%)を、鉄道リネンサービス株式会社へ譲渡することに合意しました。西日本リネン社の主な事業内容は、リネン類・寝具類・作業衣などのリネンサプライ事業です。この株式譲渡の狙いは、鉄道リネンサービス株式会社と連携し、両社のノウハウを結集することで、質の高いリネンサプライ事業の展開と、顧客・従業員・地域社会にとっての価値向上を図ることです。西日本リネン社は、JR西日本グループのサプライチェーンを支えるグループ会社として、リネンサプライ業務を受託しています。

株式会社ヤマシタと有限会社寶間

2024年10月、静岡県島田市の株式会社ヤマシタは、広島県広島市の有限会社寶間から福祉用具貸与事業を譲り受けています。これによりヤマシタは、中国地方初出店となる「ヤマシタ広島営業所」をオープンしました。今後も寶間から引き継いだ顧客基盤を活かし、広島エリアでの認知度向上と新規顧客の開拓を目指すとしています。ヤマシタは、2030年に売上850億円、営業所数を現状の70拠点から120拠点へ拡大する長期ビジョンのもと、積極的なM&Aや新規出店を実施しています。

リネンサプライにおけるM&A成功のポイント・注意点

リネンサプライ業界におけるM&Aの成功には、現場従業員や顧客との信頼関係の引き継ぎ、設備や物流体制の最適化など、細やかな対応が欠かせません。ここでは、統合を円滑に進めるためのポイントや注意点を解説します。

ここでは、上記のポイントについて詳しく解説します。

現場・顧客との関係性を丁寧に引き継ぐ

リネンサプライ業のサービス品質は、地域密着で築かれた信頼関係や現場従業員の技能・対応力によって支えられています。そのため、M&Aを成功させるには、買収先従業員の離職防止や、既存の雇用慣行や社風を尊重した丁寧な統合対応が重要です。

特に人手不足や高齢化が進む現状において、現場教育やキャリア形成支援への投資はモチベーション維持に大きくつながります。また顧客離れを防ぐ意味でも、顧客対応フローや契約条件の把握を徹底し、信頼関係を損なわない体制の構築が必要です。

設備・物流体制を適切にする

リネンサプライ業のM&Aでは、洗濯設備や配送ネットワークといったハード面の整備状況を正確に把握することが重要です。設備の老朽化や各拠点の運用体制を詳細に確認し、統合後のコスト増リスクを見極める必要があります。特に、非効率な物流ルートや重複する拠点の統廃合は、適切な投資判断とセットで丁寧に検討することが不可欠です。買収後の全体最適化を見据え、運用方針や拠点再編、投資計画を事前に設計しておくことが成功の鍵となります。

リネンサプライにおける今後のM&Aの課題と展望

リネンサプライ業界では、インバウンド需要の高まりを背景に市場拡大が続いている一方、慢性的な人手不足や設備の老朽化、物流効率の低下といった課題も顕在化しています。このような状況において、M&Aはスケールメリットの獲得や新市場への参入、環境・デジタル対応の加速など、成長戦略の有効な手段です。

また、M&Aの成否は、統合後の運営体制に大きく左右されます。丁寧なコミュニケーションにより従業員の離職や顧客離れを防ぎつつ、設備や物流体制を最適化する実行力が非常に重要です。

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よくある質問

  • リネンサプライ業界でM&Aが増えている理由は何ですか?
  • 慢性的な人手不足や設備老朽化、物流効率の低下など業界の課題を克服し、スケールメリットや顧客基盤拡大、環境対応力強化を図るためにM&Aが生き残りと成長の手段として活用されています。
  • M&Aを活用するメリットにはどのようなものがありますか?
  • スケールメリットによるコスト最適化、顧客基盤やサービス領域の拡張、環境対応力の強化が主なメリットです。特に設備や物流の効率化が事業継続に重要です。
  • リネンサプライ業界のM&Aを成功させるためのポイントは?
  • 現場従業員や顧客との信頼関係の丁寧な引き継ぎ、設備や物流体制の最適化が重要です。特に人手不足のなかでの従業員の離職防止や顧客離れ防止に配慮する必要があります。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

2007年、立教大学経済学部経営学科卒業後、国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。
2021年M&Aキャピタルパートナーズ入社後は、広報責任者として、TV番組・CMなどのメディア戦略をはじめ広報業務全体を管掌、2024年より現職。

一般社団法人金融財政事情研究会認定M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者



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