スポーツ用品業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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  • #業種別M&A動向
  • #スポーツ用品業界 M&A

業界の定義

スポーツ用品は「スポーツ器具」とも呼び、スポーツのために用いられる様々な物品のことである。スポーツ用具やスポーツ用品ともいう。トレーニング用品・アウトドア用品・カー用品・オートバイ用品もスポーツ用品に含む場合がある。
スポーツ用品の進歩により、スポーツ競技のルールそのものが変わる場合がある。事例として、ナイキの厚底シューズが「速すぎる」との論争になり、東京オリンピックでの使用が不可になるのではないかと話題になった。



業界の特色

スポーツ用品業界イメージ画像

スポーツ用品の一つであるスポーツウェアは、スポーツの発祥とともに存在しているので極めて古い歴史がある。例えば、狩衣(かりぎぬ)は古代貴族の狩猟服であったが、平安時代に貴族の日常着になった。ポロシャツもポロ用の競技服が日常着になった。

プロ野球の球場でファンが贔屓の選手のユニフォームを来て応援するなど、必ずしも競技者ではないスポーツ愛好者が、競技人口をはるかに超える人口で存在し、その人達がスポーツ用品市場の一部を形成しているのが特色である。

ワークマンは作業労働者のための「作業服」を販売する店舗であってスポーツ用品店ではないが、労働者用作業服という機能性にファッション性という付加価値を付けてアウトドア用品として売り出したところ、作業服本来の価値である高品質低価格が評価され爆発的に売上を伸ばしているのを見ると、スポーツ用品と日常品の垣根が低くなっている。

スポーツ用品業界は、スポーツビジネス業界に依存していると言っても過言ではない。プロスポーツが盛んになると競技人口の裾野が広がり、競技人口が増えると愛好者が増えてスポーツ用品が売れるという連動性が市場を形成している。

市場の規模

株式会社矢野経済研究所によると、2019年のスポーツ用品業界の市場規模は1兆5,691億1,000万円と見込まれている。健康志向によるスポーツ人口が増えており、ランニングブームは根強くランニングシューズや関連ウェアなどで今後も堅調に推移するものと予測されている。


スポーツ用品分野別国内出荷市場規模推移
出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2424


団塊の世代を中心に登山などアウトドア用品の需要もブームからトレンドになっており、この2エリアの牽引でスポーツ用品業界の市場縮小の兆しは見えない。

世界のスポーツ用品製造メーカーランキングは、ナイキが売上高3兆8,000億円、アディダスが2兆8,644億円、ザ・ノースフェイスが1兆2,500億円、アンダーアーマーが4,000億円、プーマが4,000億円となっている。

国内のスポーツ用品製造メーカーは、株式会社アシックスが3,780億円。ミズノ株式会社が1,697億円。株式会社デサントが1,424億円となっており、世界順位では10位前後に位置している。

国内トップメーカーのアシックスは、2001年にゴルフ事業から撤退した。その後は経営資源をランニング事業に集中させ、世界各地で行われているマラソンイベントのスポンサーになることで、市民に対してアシックスブランド浸透に成功した。スポーツシューズの売上が全体の8割に達している。スポーツシューズはスポーツ全般に需要が見込めるため、いずれかのスポーツの競技人口が減少しても新たなスポーツの競技人口が増えることにより安定した売上をキープすることに成功している。



課題と展望

日本のスポーツ用品メーカーは海外スポーツ用品メーカーに比較してブランディングが弱く、海外市場での市場浸透をどうするかが課題となっている。品質は海外スポーツ用品メーカーより相対的に優位性があるのに、デザインやサービス体制が需要国のローカルニーズに対応できてないという声もあがっている。

2020年の東京オリンピックが延期され、オリンピックにともなう波及効果が見込めなくなった今、海外市場をどう開拓していくかが各メーカーが直面している課題である。

スポーツ用品はITとの親和性が高く、スマートウオッチなどウェアラブル端末とGPSが連動してランニングの軌跡を記録することが可能である。仲間のランナーと情報共有したり、心拍数・消費カロリー・ステップ数・上下運動幅などさまざまな数値を記録して終了後スマートフォンでチェックできるなど、需要者の様々なニーズに対応した情報サービスという付加価値の開発も求められている。



スポーツ用品業界のM&A動向

スポーツウェアを普段着や仕事着で着用する「アスレジャー」がトレンドになるなど、スポーツ用品業界は他業界とのコラボレーションで勢力を拡大するフェーズに入っている。M&Aもその動きに合わせてIT業界や3Dプリンターなど他の製造業とのM&Aが成立し始めている。

2016年、株式会社アシックスは、米国FitnessKeeperの株式を100%取得してM&A。FitnessKeeperはGPSを活用し、ランニングやサイクリングにおける運動を記録・追跡するフィットネス・トラッキング・アプリケーション「Runkeeper」を世界展開。世界中の「Runkeeper」ユーザーにアシックスの製品や技術を浸透させる狙いでのM&Aであった。

2015年、株式会社デサントはトレイルランニングシューズなどを販売する英国スポーツ用品のイノヴェイトの株式80%を26億円で取得してM&A。イノヴェイトは欧州を中心に60カ国で「inov-8」を展開している新進気鋭のシューズメーカーである。デサントはスポーツウェアに加えランニングシューズを強化しており、2013年から日本・香港・韓国で「inov-8」を販売していた。

2008年、ゼビオ株式会社は、当時東証マザーズ上場の中古ゴルフ用品販売チェーンの株式会社ゴルフパートナーの株式を公開買付けにより95.5%取得してM&A。翌年簡易株式交換により残りの0.5%を取得し100%取得するM&Aを成立させた。取得総額は68億円であった。


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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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