M&A調査レポート 「物流・運送業のM&Aの意識調査」実施

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7割超の経営者が「先行きが厳しい」と予測
「2024年問題」に起因する経営課題への対策について調査

※2024年04月18日時点の調査結果 「物流・運送業のM&Aの意識調査」実施
調査結果について

物流・運送業の経営者101名を対象に、物流・運送業のM&Aの意識調査(2024年版)を実施しました。

物流・運送業経営者の73.3%が、業界の先行きは「さらに厳しくなる」と予想しており、2023年比3.3ポイント増加となりました。一方で、荷主企業に対する運賃の値上げ交渉については、63.4%が「実施中」または「実施予定」と回答し、2023年から7.6ポイント減少しました。

また、25.7%が、2024年問題に伴うドライバー不足への対策を「すでに実施」していますが、ドライバー不足への取り組みとしては、第1位「ドライバー賃金の向上」(74.0%)、第2位「労働時間の改善」(58.0%)となり、2022年調査から上位が入れ替わる結果となりました。

さらに、労働時間の改善のための取り組みについては、「荷役・荷待ち時間削減の交渉」が62.1%で最も多く、62.2%が、「労働時間の改善」の取り組みの効果を実感しています。

最後に、経営課題解決のため、他社とM&Aなどによるパートナーシップ(提携)を検討について、質問したところ16.8%という結果になりました。

■調査概要

  • 《業界別調査》
  • 調査名称:物流・運送業のM&Aの意識調査(2024年版)
  • 調査方法: IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®」の企画によるインターネット調査
  • 調査期間: 2024年3月21日~同年3月22日
  • 有効回答: 物流・運送業の経営者101名

※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

■利用条件

  1. 1.情報の出典元として「M&Aキャピタルパートナーズ株式会社」の名前を明記してください。
  2. 2.ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
    URL:https://www.ma-cp.com/
主な調査結果

Q1あなたは物流・運送業界の先行きに対して、どのように感じていますか。

73.3%が、物流・運送業界の先行きは「さらに厳しくなる」と予想、2023年比3.3ポイント増加

「Q1.あなたは物流・運送業界の先行きに対して、どのように感じていますか。」(n=101)と質問したところ、「さらに厳しくなる」が73.3%、「現状維持」が15.8%という回答となりました。

あなたは物流・運送業界の先行きに対して、どのように感じていますか。への回答のグラフイメージ

Q2荷主企業に対して、運賃の値上げ交渉をしていますか。

荷主企業に対する運賃の値上げ交渉、63.4%が「実施中/実施予定」と回答、2023年から7.6ポイントダウン

「Q2.荷主企業に対して、運賃の値上げ交渉をしていますか。」(n=101)と質問したところ、「運賃交渉をしている」が44.6%、「運賃交渉をする予定がある」が18.8%という回答となりました。

荷主企業に対して、運賃の値上げ交渉をしていますか。への回答のグラフイメージ

Q3働き方改革関連法により、今後さらなる人手不足が予測されていますが、ドライバー不足への対策を実施していますか。

25.7%が、2024年問題に伴うドライバー不足の対策を「すでに実施」、2022年比2.9ポイント増加

「Q3.働き方改革関連法により、今後さらなる人手不足が予測されていますが、ドライバー不足への対策を実施していますか。」(n=101)と質問したところ、「すでに実施している」が25.7%、「実施する具体的な予定がある」が23.8%という回答となりました。

働き方改革関連法により、今後さらなる人手不足が予測されていますが、ドライバー不足への対策を実施していますか。への回答のグラフイメージ

Q4ドライバー不足への対策として、当てはまる選択肢を全てお選びください。(複数回答)

ドライバー不足への取り組み、第1位「ドライバー賃金の向上」が最多に

Q3「すでに実施している」「実施する具体的な予定がある」と回答した方に、「Q4.ドライバー不足への対策として、当てはまる選択肢を全てお選びください。(複数回答)」(n=50)と質問したところ、「ドライバー賃金の向上」が74.0%、「労働時間の改善(生産性の向上)」が58.0%、という回答となりました。2022年の調査から上位が入れ替わる結果となりました。

ドライバー不足への対策として、当てはまる選択肢を全てお選びください。(複数回答)への回答のグラフイメージ

Q5労働時間の改善のために取り組んでいることを具体的に教えてください。(複数回答)

労働時間の改善のための取り組み、「荷役・荷待ち時間削減の交渉」が62.1%で最多

Q4で「労働時間の改善(生産性の向上)」と回答した方に、「Q5.労働時間の改善のために取り組んでいることを具体的に教えてください。(複数回答)」(n=29)と質問したところ、「荷役・荷待ち時間削減の交渉」が62.1%、「給与条件や待遇改善による採用強化」が51.7%という回答となりました。

労働時間の改善のために取り組んでいることを具体的に教えてください。(複数回答)への回答のグラフイメージ

Q6行っている取り組みによって、労働時間(生産性)の改善が充分に解決できていると思いますか。

62.2%が、実施している取り組みにより「労働時間の改善」を実感

「Q6.行っている取り組みによって、労働時間(生産性)の改善が充分に解決できていると思いますか。」(n=29)と質問したところ、「非常にそう思う」が7.0%、「ややそう思う」が55.2%という回答となりました。

行っている取り組みによって、労働時間(生産性)の改善が充分に解決できていると思いますか。への回答のグラフイメージ

Q7運賃交渉や労働時間のような経営課題を解決するために、他社とM&Aなどによるパートナーシップ(提携)を検討したことはありますか。

経営課題解決のため、M&Aなどによるパートナーシップを検討したことがある人は16.8%に留まる、2023年比0.8ポイントアップ

「Q7.運賃交渉や労働時間のような経営課題を解決するために、他社とM&Aなどによるパートナーシップ(提携)を検討したことはありますか。」(n=101)と質問したところ、「はい」が16.8%、「いいえ」が78.2%という回答となりました。

運賃交渉や労働時間のような経営課題を解決するために、他社とM&Aなどによるパートナーシップ(提携)を検討したことはありますか。への回答のグラフイメージ

Q8仮にパートナーシップをご検討する場合、パートナーにふさわしい企業について教えてください。(複数回答)

パートナーシップを検討する場合にパートナーとしてふさわしい企業、約3割が「同業の大手企業」と回答、2023年から1.7ポイント増加

「Q8.仮にパートナーシップをご検討する場合、パートナーにふさわしい企業について教えてください。(複数回答)」(n=101)と質問したところ、「同業の大手企業」が27.7%、「同一エリアの企業(業種は問わない)」が20.8%という回答となりました。

仮にパートナーシップをご検討する場合、パートナーにふさわしい企業について教えてください。(複数回答)への回答のグラフイメージ

まとめ

  • ―7割以上の経営者が、業界の先行きは「さらに厳しくなる」と予想
  • ―燃料費の高騰に加え人件費の高騰が物流関連企業の利益を圧迫する可能性
  • ―「運賃の値上げ」や「荷役・荷待ち時間削減の交渉」など、荷主との交渉力も重要に
  • ―様々な経営課題の解決策としてパートナーシップ(M&Aなど)を検討した経営者は16.8%と低い

■弊社アドバイザーからのコメント

今回の調査でも、目前に迫る2024年問題への対応として、物流・運送業界が直面している様々な課題が明らかになりました。
物流・運送業経営者の7割以上の経営者が、業界の先行きは「さらに厳しくなる」と予想しており、半年前の調査より3.3ポイント上昇しました。この4月にはトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改善基準告示の改正が物流業界企業にも適用されており、この「2024年問題」への対応など物流業界の経営者が業界の今後に対して厳しい見方をしていることが分かりました。
「2024年問題」に派生する経営課題の一つとして挙げられているのがドライバーの人材確保です。調査では、ドライバー不足の対応策として「ドライバー賃金の向上」が74.0%、前回調査から約23%も上昇しています。この人件費の値上げは、燃料費の高騰に加えドライバー確保のための人件費の高騰が物流関連企業の利益を圧迫する可能性があると考えられます。足元も、荷主からの適正な運賃の収受が進んでおらず、課題がある現状が垣間見えます。
また、ドライバー不足の対応策として「生産性の向上」と回答した方が約6割となり、生産性の向上のための対策として「荷役・荷待ち時間削減の交渉」が約6割を超え、運賃の値上げ交渉とともに荷主との交渉力が重要になっています。さらに、「生産性の向上」において業務の効率化のためのDXの推進を重要視している経営者も3割を超えています。ドライバー不足の対応策として経営者がDXの推進も経営者が注目していることが分かります。
一方で、他社とM&Aなどによるパートナーシップ(提携)を検討について、検討したことがあるのは16.8%と前回調査から0.8%増加したものの、まだまだ低い状況です。物流業界の経営者が課題解決の対応策として挙げている「人手不足」や「荷主との交渉力」、「DXの推進」は、より大きい資本とのパートナーシップによって解決することができる可能性があります。M&Aなどによるパートナーシップを模索することで、経営基盤をより強化し、この4月に適用された2024年問題に対する解決策として情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社企業情報部 部長菊池 尚人
物流業界プロフェッショナルチームリーダー
菊池 尚人

大手証券会社にて未上場企業(大手・中堅)の資産運用や富裕層の資産運用コンサルティングに従事。
当社入社後、M&A案件開発、M&Aアドバイザリー業務に従事。主に、物流・運送業界、飲食・ケータリング業界、建設コンサルタント業界を手掛ける。

M&Aキャピタルパートナーズは、豊富な経験と実績を持つM&Aアドバイザーとして、お客様の期待する解決・利益の実現のために日々取り組んでおります。
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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

2007年、立教大学経済学部経営学科卒業後、国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。
2021年M&Aキャピタルパートナーズ入社後は、広報責任者として、TV番組・CMなどのメディア戦略をはじめ広報業務全体を管掌、2024年より現職。
一般社団法人金融財政事情研究会認定M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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