リフォーム 業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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リフォーム業界におけるM&Aが、ここ数年で大きく加速しています。業界再編の動きは、今後さらに活発化すると予想されるなか、M&Aは企業の成長戦略に欠かせないものとなっています。

本記事では、リフォーム業界の特色から現状、M&Aの具体的な事例、M&Aを成功させるポイントまで詳しく解説します。この記事を最後までご覧いただければ、M&Aを活用するメリットや今後の展望が見えてくるはずです。

M&Aの前に押さえておきたいリフォーム業界の情報

リフォーム業界のM&Aを検討するにあたり、まずは、業界の特徴や動向を理解することが重要です。ここでは、リフォーム業界の定義、代表的な企業、業界の特色について解説します。

リフォーム業界の定義

リフォームとは、老朽化した住宅や店舗を工事して竣工時の性能に戻したり、性能の変更を行ったりする作業のことをいいます。建物や設備機器の経年劣化や老朽化に伴う増改築・補修・改装のほか、設備機器やインテリアの設置交換などを行うものです。

住まいの空間を中心に、ライフステージやライフスタイルの変化による

  • ・間取りの変更
  • ・バリアフリー化
  • ・キッチンなどの水回り設備の変更
  • ・耐震・耐熱強化

など

性能向上を目的とするもので、小規模なものから大規模なものまで多岐に渡る工程があり、さまざまな工事を伴います。

代表的な企業

リフォーム業界には多くの企業が存在しますが、代表的な大手企業としては以下が挙げられます。

  • ・積水ハウス株式会社
  • ・大和ハウス工業株式会社
  • ・住友不動産株式会社
  • ・積水化学工業株式会社

これらの企業は、リフォーム事業に力を入れており、高い技術力と豊富な実績を有しています。それぞれ独自のブランドやサービスを展開し、顧客のニーズに合わせたリフォームを提供しているのが現状です。

業界をリードする存在として、今後もリフォーム市場の拡大に貢献していくことが期待されます。

リフォーム業界の特色

ほとんどの住宅リフォームは、500万円未満の小規模工事であるといわれており、内装の変更や水回りの修繕などの工事が50%以上を占めています。そのうえ、住宅リフォームは建設業法の規定に抵触しない工事が多いことから、建築に携わる事業者であれば参入可能で、参入障壁が比較的低い業界といえるでしょう。

リフォーム業界では、地場の小規模工務店のほか、住宅リフォーム専門業者・ハウスメーカー・住宅設備機器メーカー・不動産業者、さらには家電量販店やホームセンターなどの異業種からの参入も多く、競争は激化しています。したがって、他社との差別化をどうするかが課題の一つです。

住宅リフォームの工事現場を見てみると、顧客ニーズに対応した工事内容が一品一様であることから、工法・部品・材料の標準化が進んでいません。人的技能に頼ることも多いため、労働集約型ビジネスの典型とされる業界です。その結果として人件費率が高くなり、スケールメリットを出しづらい業態ともいえます。

業界の様相は地域によっても異なります。都市部では、新築住宅に適した土地が限られてきており、今後、新築需要は減少すると見られ、既存住宅の有効活用が求められる構造です。住宅ストック数は増加かつ老朽化しており、リフォーム需要は潜在的に大きいと考えられるでしょう。

実状として工事内容が幅広く、規模が小さい割には新築と同程度の技術が求められるため、採算性の低い業界に分類されることが多い傾向です。

リフォーム業界のM&A動向・市場規模

2022年の住宅リフォーム市場規模は、前年比5.8%増の7兆2,877億円と推計されています。需要増加の背景には、新型コロナウイルス感染症の流行によるリモートワークの推進や在宅時間の増加が影響しているとみられます。

2023年の結果はまだ報告されていませんが、コロナ禍の規制緩和や外出機会の増加により、一時的に高まったリフォーム需要は落ち着くとの推測です。

一方で、政府は世帯数に対する住宅ストックの超過や、空き家の増加という現状を踏まえ、リフォームの推進と市場環境の整備を進めています。こうした後押しもあり、リフォーム市場全体としては堅調に推移すると見込まれます。

住宅リフォーム市場規模推移と予測

参考:住宅リフォーム市場に関する調査を実施(2023年)│矢野経済研究所

リフォーム業界のM&A事例

近年、リフォーム業界ではM&Aが活発化しています。大手企業による中小企業の買収や、異業種からの参入による買収など、さまざまな実例が見られます。

ここでは、代表的なM&Aの事例をいくつか紹介します。

大和ハウス工業株式会社と株式会社TRDホームズ

大和ハウス工業は、東急Re・デザインの子会社であるTRDホームズの全株式を取得し、2024年4月に100%子会社化することを発表しました。

TRDホームズは、リフォームに関する各種コンクールで優れた成績を残しています。大和ハウス工業は、この実績やリフォームに関するノウハウを取り込むことで、自社のリフォームサービスの増強や商品ラインナップの拡充を図る考えです。

エンデバー・ユナイテッド株式会社とホームテック株式会社

エンデバー・ユナイテッドは、住宅リフォーム事業を展開するホームテックの株式を取得しました。

東京・神奈川・埼玉エリアで事業拡大を図るホームテックとの融合により、自社の成長と経営基盤の強化を目的として実施された事例です。

株式会社アートリフォームと株式会社スールコーポレーション

全国で年間6,500件以上のリフォーム・リノベーション工事を手がける、株式会社アートリフォームが、株式会社スールコーポレーションへ資本参加しました。

アートリフォームの得意とする住宅設備領域と、スールコーポレーションが得意とする外壁・外装領域との融合により、それぞれの強みを生かしながら、アートリフォームグループの価値向上を狙いとして実施されました。

⼤和ハウスリフォーム株式会社と株式会社ナサホーム

⼤和ハウスリフォーム株式会社は、株式会社ナサホームの株式取得に係る契約を締結し、⼦会社化することとなりました。

中京・関⻄圏を中心に事業展開し、⼤阪府内でトップクラスの実績を有するナサホーム社を子会社化することで、リフォーム事業の拡大と共に、カーボンニュートラルやSDGsといった社会貢献を図ることを目指しています。

株式会社安江工務店と株式会社N-Basic

愛知県名古屋市に本社を置く総合建設会社の安江工務店は、自社の完全子会社で、主に住宅のリフォーム事業を展開してきた株式会社N-Basicを吸収合併しました。

この事例は、経営資源の集約と効率的な企業成長を目的に実施されたものです。今回の合併により、経験や顧客基盤を融合することで、より総合的な住宅関連サービスの提供が可能になります。

リフォーム業界でM&Aを活用するメリット

リフォーム業界でM&Aを利用することには、多くのメリットがあります。なかでも、事業参入のスピードアップと、既存のリソースを有効活用できる点は特筆すべきです。

以下、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

すぐにリフォーム事業に参入できる

「リフォーム業界は新規参入しやすい」とされていますが、事業を始めるには多くの課題が挙げられます。仕入先の開拓や、下請け業者・人材の確保などが必要不可欠です。

もっとも、上記の問題は、会社を買収することで一挙に解決できます。M&Aは労力を抑え、すぐにリフォーム事業を開始できる点が強みであり、自社を成長させる手段の一つとして検討する価値は大いにあるでしょう。

取引先やノウハウをそのまま活用できる

地域密着型のリフォーム会社は、その地域特有の取引先や営業・施工ノウハウを持っています。新たな地域へ事業を拡大するには、これらを習得する必要がありますが、そのためには時間とコストがかかります。

そこで、地域密着型のリフォーム会社に対してM&Aを行うことにより、地域の取引先やノウハウを獲得し、時間とコストを抑えた事業拡大が可能です。既に地域の信頼を得ている企業を買収すれば、早期の収益化も期待できるでしょう。

リフォーム業界におけるM&A成功のポイント

リフォーム業界でM&Aを成功させるには、いくつかの重要なポイントがあります。特に、買収先企業の人的資源の質と、地域におけるブランド力や信頼性は見逃せない要素です。

以下、それぞれのポイントについて順番に把握しましょう。

優秀な人材や職人がいる企業を買収する

M&Aの候補企業を選定する際は、優秀な人材や職人がいるかどうかを確認することが大切です。リフォーム業界では慢性的な人手不足が課題となっているため、有能な人員の確保は、事業成長に大きく寄与します。

候補企業選定時のリサーチ項目には、なるべく人材や職人の質について盛り込んでおくことをおすすめします。優れた働き手を獲得できれば、事業の質の向上や、新たなサービスの提供などにつなげられるでしょう。

地域密着型の企業を狙う

住宅リフォームを依頼する多くの顧客は、信頼できる業者を選ぶ傾向にあります。そのため、新規事業者よりも、長年地域に根差したリフォーム会社が好まれます。

異業種や関連業種の企業がリフォーム業界へ参入する際、小規模でも、地域において実績と信頼性の高い施工会社をパートナーに選び、M&Aを行うケースが多数派です。

既存の信頼関係と実績を活用することで、新規参入リスクを軽減することができるので、M&Aの検討材料の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

リフォーム業界における今後のM&Aの課題と展望

リフォーム業界は、人材不足や技術承継、業界全体の信頼性向上など、多くの課題を抱えています。これらの問題に対応するため、M&Aを活用する動きがさらに活発化すると予想されます。

業界全体が抱える課題の解決策としてM&Aが増加する

業界の傾向として、少子高齢化による人手不足と高い教育コスト、需要増加に伴う人材育成の課題に直面しています。新規参入業者の技術不足や急ぎのリフォームによるトラブルの多発、悪質な業者の高額請求なども、業界全体の信頼を損なうリスクがあります。

業者の技術や品質のばらつきが、リフォーム業界全体に不安を与える要因となっており、複数の課題を抱えている状況です。各事業者が個々で問題を解決していくのは難しく、業界全体として、協業しながら取り組んでいく必要があります。

その一手として、M&Aがますます活発化すると見込まれます。

他業種との融合による事業形態の活発化

近年では「建物より立地が大事」という消費者ニーズの高まりにより、「中古住宅と住宅リフォームをセットにした住宅販売」を行う会社が業績を伸ばしています。

ニーズの変化に伴い、このような事業形態が拡大すると予想され、リフォーム事業者同士だけでなく、隣接する業種とのM&Aが増加すると予測されます。

M&Aキャピタルパートナーズは、建設業界に精通したM&Aのプロフェッショナルが在籍しているM&A仲介会社です。豊富な経験と知見をもとに、リフォーム業界のM&Aをサポートします。事業承継、業界再編、事業拡大など、お客様のニーズに合わせた提案が可能です。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社企業情報部 課長高橋 祐基
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 課長
高橋 祐基

生命保険会社を経て、独立系ブティックでアドバイザリー業務に従事。
当社参画後は、建設業界の大型M&Aや上場企業からのカーブアウト等、数々の成約実績を有する。


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